世界の流れに「逆走」を続ける韓国車メーカー
スイスのジュネーブ・モーターショーは、もともと欧州の富裕層のためのモーターショーだったという話を耳にしました。それだけ高級車が勢揃いする意味なのでしょう。ところが、今月3日(現地時間)に開幕した今年のジュネーブ・モーターショーでは、リーズナブルな小型車ばかりが目立っていました。ほんの数年前まで、欧州で高級車として人気があったSUV(スポーツタイプ多目的車)は完全に姿を消していました。
フォルクスワーゲンは小型車の「ポロ」の新モデルを出展しました。これまでのものより大きく、性能も向上しましたが、価格は変わっていませんでした。ほかのメーカーもさまざまな機能を備えながら、それほど高くない小型車を出展していました。ところが、韓国の自動車市場はこうした世界の流れに逆行しています。市場にお目見えする新車は中・大型のセダンやSUVばかりです。
韓国の完成車メーカーは「韓国では小型車が売れないため、発売しても無駄だ」と話しています。しかし、本当にそうでしょうか。ソウル市内を歩いていると、ハンドルが右側にある日本製の小型車に乗っている若者たちをよく見かけます。彼らがなぜ、右ハンドルという不便な点を我慢してまで日本製の小型車に乗るのかと尋ねたところ、「韓国の小型車には飽き飽きしている」という答えが返ってきました。
韓国で小型車に対する需要がないわけではないのです。ただ、魅力的な小型車が少ないというだけなのです。これは自動車メーカーが、あまり儲けにならない小型車を売るよりも、多額のマージンを得られる中・大型車やSUVに消費者を誘導し、利益を極大化しようという考えにとらわれているためなのです。考えてみれば、韓国で販売されている軽自動車はたった2種類しかなく、設計やデザインも1世代古いものです。
今後の動向はもっと気がかりです。現代自動車は今月、「エクウス」の新モデルを発売し、さらに今年下半期には「TUCSON(ツーソン)」と「ソナタ」の新モデルを発売する予定です。起亜自動車も来月に「ソレント」の新モデルを、また来月以降に「オピラス」の新モデルを発売する予定です。すべて海外では売り上げが急激に減っている中・大型のセダンやSUVで、軽自動車は言うまでもなく、小型車もまったくありません。ルノー・サムスンが今年下半期に発売を予定している「SM3」と「SM5」の新モデルも、これまでのセダンのスタイルをそのまま踏襲しています。双竜自動車が発売する「C200」もまた、現代の「TUCSON」に対抗して発売されるSUVです。
世界の市場の主流が小型車へ移行している中で、韓国の国内市場はいつまで「逆走」を続けるのでしょうか。問題はこうした「逆走」によって被害を受けるのは消費者たちであるという事実です。小さくて、可愛らしくて、丈夫な車を買いたいと思っても、それを選ぶ権利を奪われてしまっているのです。韓国の消費者たちはこんな状況にいつまでも耐え続けなければならないのでしょうか。
崔源錫(チェ・ウォンソク)記者
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