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「私は力不足の新人」 自殺したチャン・ジャヨンさんの遺書(下)

 死亡したチャンさんは、所属事務所をめぐる問題でも悩んでいたという。知人らは「所属事務所と1年6カ月の契約期間を残した状態でトラブルになった」と話しているが、事務所側の説明は異なる。事務所側代表は8日、「ジャヨンさん側が再契約を望んでおり、交渉中だった。所属事務所の問題で悩み、こういう結果になったとは納得できない」と述べた。チャンさんから悩みの相談を受けていた他のプロダクション代表も心境をつづった文書を持っていることが分かった。同代表は9日にインターネット上に「芸能界関係者はジャヨンがなぜ死んだかを知っているはずだ」などと書き込んだ。Aさんは「苦しみを分かち合う人が欲しくて、知人に文章を残したようだ」と話した。

 チャンさんだけではなく、韓国の無名女優には「人権」など程遠い話だ。チャンさんの場合は、死をもって沈黙を選んだが、生きながら沈黙する女優も少なくない。ある女性タレントは「政府(国税庁)は不公正取引契約書を違法だというが、問題は書類上ではなく、現実的に毎日起きている。契約解除金1000万ウォン(約64万円)が払えず、望まざる人生を歩んでいるタレントがいることも分かってほしい」と語った。別のタレントは「芸能界にいるという理由で、結婚後にも夜遅くまで酒の席に呼ばれることが多く、最近は仕事を休みたいと考えている」とも話した。彼女は「そういう理由で破局に至る女優もいる」と付け加えた。

 それならば、女優たちはなぜ沈黙するのか。芸能界関係者は「問題を公表すれば、誰が被害を受けるのか考えれば自明だ」と指摘する。同関係者は「被害を与えた側が女優たちよりも力がある人物なので、被害者がかえって損害を受けるケースが多く、ゴシップメディアは被害者の人権どころかそれをあおるはずで、わたしでもどうしようもない」と続けた。

 数億ウォンのギャラを受け取る芸能人、数十億ウォンの財力を備えたスターがいる芸能界の片隅には、夢を担保に取られたまま、苦痛を味わっている無名の女優という存在がいる。そして、彼らを苦しめているのは彼らより力が強い人物たちだ。

パク・ウンジュ・エンターテインメント部長

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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