大阪市立の高校の校長らが、そううつ病で通院中の男性職員本人に断りなく、主治医から病状を聞き出したのはプライバシーの侵害だとして、大阪弁護士会は9日、市教委に改善を求める勧告書を送ったと発表した。「精神疾患に関する健康情報の収集にあたっては事前に本人の同意を得るべきだ」としている。
勧告書などによると、校長は04年5月、部下の男性職員が通院する病院を市教委の担当者とともに訪れ、主治医から病状の説明を受けた。その後、職員は主治医から経緯を知らされ、同8月に弁護士会に人権救済を申し立てた。弁護士会は「他人に知られたくない私的な問題について、本人の意思に反して情報を得るのは違法だ」と指摘した。
市教委事務局は「勧告書の内容は真摯(しんし)に受け止めたい」としている。