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性能落とし安価製品を、日本の新ダウンサイジング(上)

 製品性能を落とせ-。日本企業の間で逆転の発想による競争が激しさを増している。価格が100ドル(約9900円)を切るデジタルカメラ、日本国内向け仕様より40万円安いスポーツタイプ多目的車(SUV)など、性能と価格を同時に引き下げた製品だ。こうした製品の出荷先はアジア、中南米、アフリカなど人口30億人を抱える開発途上国市場。成長著しい新興国市場では最先端モデルではなく、安価な「低性能・低機能モデル」が新たな売れ筋となっているためだ。

 日本メディアはこうした状況について、1980年代後半のパソコンのダウンサイジングに続く「新ダウンサイジング」と名付けた。

◆高品質より適切な品質

 日本の富士フイルムは1台100ドルを下回るコンパクト・デジタル・カメラを今年に入り発売した。日本で販売されている製品の半額ほどだ。デジタルカメラの性能を左右する画像センサーの品質を意図的に落とした。中国製部品を使用するため、中国専門の調達組織も新設した。販売対象地域はアジアや中南米だ。

 こうした手法は、欧米市場を狙った最先端製品を開発し、そのうちの安いモデルを開発途上国に販売していたこれまでとは異なる。新興国市場だけを狙い、製品設計とデザインを完全にリニューアルした。

 ファスナーの代名詞的存在のYKKは「ARC」という第2のブランドを立ち上げた。1万回の開け閉めが可能な既存製品の耐久力は、中国など新興国では品質過剰と判断したためだ。年間74億個の各種ファスナーを生産している同社は、製品の70%を新興国に販売している。ARCは品質基準を落とし、価格を半額にまで引き下げたブランドだ。中国の衣料メーカー350社が同社製品を受け入れた。ベトナム、タイ市場にも続々と進出している。

 日立アプライアンスは、中国、サウジアラビアなど20カ国向けに現地仕様の大型冷蔵庫を順次投入することを決めた。ダイハツ工業はインドネシア市場限定で、日本国内向けより40万円ほど安いSUVを開発中だ。本田技研工業はアフリカ市場向けのバイク開発を検討している。すべて現地事情に合わせ、性能や機能を落としたり、単純化したりすることで、価格を抑えた製品だ。こうした企業のモットーは「適切な品質、安価な製品」だ。

辛貞録(シン・ジョンロク)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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