初任地の兵庫県で強制退去処分の取り消しを求め神戸地裁に提訴したペルー人の一家を取材した。両親は93年来日し、期限を超え滞在し工場で働いた。小学6年の長女は日本語しか話せない。PTA活動もしていた両親は在留特別許可を求め99年に入管に出頭。しかし、強制退去を命じられた。「友達と一緒に中学校に行きたい」。長女は目を潤ませ訴えた。裁判は棄却され、一家は帰国した。
蕨市のフィリピン人、カルデロン・ノリコさん(13)一家も同じようなケースだ。入管から家族全員か、ノリコさんを残し両親だけ帰国するか決断を迫られたというが、子供にとってつら過ぎる通告だ。強制退去なら5年間来日できない。もし両親のみ帰国した場合、法相の許可で短期間で再来日できるようにならないものか。
子供たちの悲痛な顔を、これ以上見たくはない。【桐野耕一】
毎日新聞 2009年3月3日 地方版