両親の不法滞在を理由に、国外退去を迫られているフィリピン人少女の問題で、入国管理局は9日、少女の父親を強制収容しました。その上で、少女1人を残すかどうかを決めなければ、来週、家族全員を強制送還するとしています。
小学校の卒業アルバムに残るのり子さんの写真。
「すごい笑顔だね」(記者)
「写真撮るときにカメラの後で、すごい笑わせてくれるので」(カルデロンのり子さん)
机の上の色紙は50冊の本を読んだご褒美にと、当時の校長先生が贈ってくれたものです。
しかし今、のり子さんは当時のある、つらい記憶がよみがえるといいます。
「お母さんがいなくなって、何日かごはんを食べられなかった」(のり子さん)
3年前、のり子さんが小学5年生の時、母親のサラさんが不法滞在の容疑で逮捕されました。
「毎日心配して、のり子はごはん食べたかな」(母・サラさん)
父のアランさんが夜の工事現場で働く時はのり子さんをトラックの助手席に寝かせたといいます。
「その時は本当に大変だったけど、“お父さんのところに行きたい”って」(父・アランさん)
母親のいない生活はおよそ1年3か月に及び、のり子さんはたびたび体調を崩したといいます。
「お母さんが収容されただけでもつらかったのに、2人とも収容されてしまったら――」(のり子さん)
家族3人で出国するか、両親と離れ、1人日本に残るか。
入国管理局が突きつけた選択肢に対し、一家が出した結論は、3人で日本に残して欲しいと最後まで訴えることでした。
「ありがとう。ありがとう」(父・アランさん)
9日あさ、両親は、登校するのり子さんに学校まで付き添いました。そして、午前9時、入国管理局に出頭。3時間半後に出てきたのはサラさんだけでした。アランさんが強制収容されました。
「お父さんが収容された事はすごいショック。すぐにでもお父さんを返してほしい」(のり子さん)
入国管理局は今週金曜までに、のり子さん1人を日本に残すか結論を出さなければ、母親のサラさんとのり子さんを来週の16日に収容し、翌17日に家族全員を強制送還すると通告しました。
「今後、外国人の受け入れが必要だと言われる中で、今現在、こんなに長期に安定して生活している外国人をなぜ受け入れられないのか」(一家を支援する 渡辺彰悟 弁護士)
のり子さんは家族3人で暮らしたい気持ちは変わらないと話しています。(09日17:10)