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「現実」の前に「理想」勝てず Jリーグ秋春制にノー
結論はやはり「NO」だった。
鬼武委員長自身、「移行はサッカー界発展の手段のひとつ」と認める。真夏の試合を避けることでプレーの質向上が期待できるほか、日本代表の活動や移籍がスムーズになるなどのメリットがあるのは事実。犬飼会長が移行に意欲を燃やすのも、サッカー界発展を第一に考えてのことだ。
だが、いざ実現するとなると障害が多すぎる。観客動員の大幅減は確実。降雪地のクラブからは「練習場の確保もままならない」と反対意見が続出した。スタジアムの改修など設備投資に百億単位の費用がかかるとの報告も出されている。
Jリーグだけ移行すればいいというものではなく、学校制度やスポンサーの決算期といった、春を起点とする日本の社会構造もネックだ。スタジアム使用に関し、他競技との調整も必要になる。影響は日本サッカー界だけにとどまらない。
シーズン移行論議は2000年ごろから始まり、犬飼会長が再燃させた形だが、論点は当時のまま。こうしたデメリットを埋めるだけの解決策が出てこない以上、移行は理想論でしかない。
将来構想委の結論を、日本協会は真摯(しんし)に受け止める必要がある。同時に、移行せずとも日本サッカーを発展させる方策を考えるべきだろう。(森本利優)