東京入国管理局は9日、退去強制命令を受けて出頭したフィリピン人、カルデロン・アランさん(36)=埼玉県蕨市=を国外退去させるために収容した。妻サラさん(38)と中学1年の長女ノリコさん(13)については16日まで仮放免を延長した。一家はノリコさんが日本語しか話せず、日本で勉強を続けることを望んでいるため、全員の在留特別許可を求めたが、認められなかった。
入管は、一家3人で帰国するか、ノリコさんの在留特別許可を申し出るか、どちらかを13日までに意思表明しなければ、サラさんとノリコさんも16日に収容し、17日に送還すると通告した。
ノリコさんはサラさんと東京・霞が関の司法記者クラブで記者会見し「お父さんが収容されてすごいショック。すぐ帰ってきてほしい」と訴えた。サラさんは黙って涙を流し続けていた。
法務省の担当者は「一家には、親せきらの下で学業を継続させるためならば、長女に在留特別許可を与えると伝えてある。両親が退去強制されると最低5年は入国が認められないが、一定期間を置いて上陸を特別に許可する用意があると法相が表明している」としている。収容に踏み切った理由については「最大限、特別に配慮すると伝えてきたが、あくまでも3人全員の在留を求め、帰国の意思を示さない」と説明した。
アランさん夫妻は92、93年に不法入国。06年にサラさんが出入国管理法違反(不法残留)容疑で逮捕され、一家は退去強制命令を受けた。命令取り消しを求める訴訟は最高裁で敗訴が確定している。【稲田佳代、桐野耕一】
毎日新聞 2009年3月9日 20時46分(最終更新 3月9日 20時55分)