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解説:「医療基本法」報告書 医師側の権利も盛る

 ハンセン病問題を巡る厚生労働省の「再発防止検討会」が6日、医療基本法(仮称)の制定を求める報告書をまとめたことで、元患者や薬害・医療被害者が長年求めてきた患者の権利を体系化した法律が制定に向けてようやく動き出した。

 「ハンセン病問題に関する検証会議」最終報告書(05年)で最重要課題とされた再発防止策は患者の権利の法制化だ。90年に及ぶハンセン病隔離政策を招いたのは法整備の遅れが原因との反省からだ。しかし、検討会では委員18人中8人を占める日本医師会など医療団体代表から「法制化を認めれば医療崩壊に拍車がかかる」との意見が相次いだ。

 検討会の論議は丸3年に及び難航したが、元患者や薬害エイズ原告の委員が粘り強く法制化を訴えた結果、医療団体代表も「医療提供者の権利も定めた基本法的な内容なら賛同できる」との意見を述べるようになった。国の財政措置を報告書に明記することで、医療団体側も了承した。

 検討会の座長代理の内田博文・九州大法学研究院教授は「主な医療団体が参加して法制化に合意したことは画期的」と評価する。患者と医療者との相互不信を解消するためにも厚労省は報告書の提言を一日も早く実現する責任がある。【江刺正嘉】

毎日新聞 2009年3月7日 東京朝刊

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