2009年3月4日15時3分
静岡県の旧清水市(静岡市清水区)で66年に一家4人が殺された「袴田事件」で死刑が確定した元プロボクサー袴田巌死刑囚(72)=2次再審請求中=について、東京家裁が姉の袴田秀子さん(76)を保佐人とする保佐開始審判を出したことが関係者の話でわかった。審判は2日付。弁護団によると、現行の成年後見制度が死刑囚に適用されるのは初めてという。
本人が死亡するか心神喪失でない限り親族は再審請求の申立人になれないが、保佐人ならば可能なことから、弁護団は、昨年4月に秀子さんが静岡地裁に起こした第2次再審請求が実体審理に進むことになる、と評価している。
袴田死刑囚の成年後見人申請をめぐっては、東京高裁が昨年12月、申請を却下した東京家裁の審判を取り消して差し戻した。この際、高裁は、家裁が袴田死刑囚に保佐人が必要な状態にあると認めながら、保佐開始の審判をしなかったことを「相当でない」とし、「調査を尽くす必要がある」と判断していた。
成年後見制度では、保佐人は、後見人をつけるほど判断能力は欠けていないが、著しく不十分な場合に認められる。