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【疑惑の濁流】ちらつく「わいろ」「政治」 西松建設“裏金”はどこに流れた (2/4ページ)
昨年から今年にかけ、防衛専門商社「山田洋行」と建設コンサル大手「パシフィックコンサルタンツインターナショナル」(PCI)で、海外の業務に絡み裏金をつくっていた疑惑が、検察の捜査で相次いで浮上。PCIは中国の事業をめぐる裏金に続き、コスタリカの事業での裏金疑惑も指摘された。
今春には、ベトナムでの政府開発援助(ODA)事業をめぐり、PCIの元幹部らが現地の公務員にわいろを贈っていた疑いも表面化し、不正競争防止法違反(外国公務員への贈賄)容疑で刑事事件に発展した。
こうした事件ラッシュに、西松の裏金を預かる立場だった高原容疑者は“怖くなった”ようなのだが、それだけでもなさそうだ。
実は、高原容疑者が裏金の一部を着服していた事実は、昨年末の退職前には、西松上層部は把握していたといわれている。このため、背任や横領といった「個人犯罪」で会社側から切り捨てられるのを恐れた高原容疑者が、先手を打って内部告発者を装った、との見方もあるようなのだ。
とすれば、裏金をめぐって、西松内部で“暗闘”が起きていたことになる。
10年間で10億円
高原容疑者を逮捕した特捜部にとっても、同容疑者の横領容疑の追及が主目的ではない。捜査の対象は西松建設そのものだ。
高原容疑者の“自首”を受けた後の6月、同容疑者が平成17〜19年の間に、当時の副社長(67)=10月24日付で非常勤顧問=の指示で、裏金のうち約1億円を税関に無届けのまま8回に分けて国内に持ち込んだ外為法違反の容疑で西松本社を家宅捜索。同容疑者を逮捕した直後の11月21日にも再び外為法違反の容疑で西松を捜索している。元副社長らの事情聴取を進めるとともに、押収資料の分析を進めている。
西松の裏金とはどのようなものなのか−。
関係者によると、西松は10年ほど前から、海外で受注した大型工事で合計約10億円にのぼる裏金を捻出し、香港にあるペーパーカンパニーの口座などにプールしてきた。