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【疑惑の濁流】ちらつく「わいろ」「政治」 西松建設“裏金”はどこに流れた (1/4ページ)
東証1部上場の準大手ゼネコン「西松建設」(東京都港区)の裏金疑惑は奇妙そのものだ。何のために10億円ともいわれる裏金が海外でつくられ、危険を冒してまで日本に持ち込もうとしたのか。部長級幹部が会社に離反し、検察に“自首”して発覚した疑惑。西松内部では何が起きていたのか。東京地検特捜部の捜査が進む中、「海外受注工作」「国内談合=政治対策」というキーワードがおぼろげに浮かび上がるものの、その輪郭はまだまだ明確にならない。
なぜ容疑者は内部告発したのか?
そもそもこの裏金疑惑は、西松建設の海外事業部元副事業部長だった高原和彦容疑者(63)が特捜部に自ら打ち明けたことが端緒となって発覚した。
「海外で裏金をつくり、副社長の指示で約1億円を無届けのまま日本に持ち込んだ」
「タイのトンネル工事受注で便宜を図ってもらう見返りに、西松建設からタイ政府当局者に4億円以上のわいろが渡った」
特捜部に駆け込んだ高原容疑者は、こうした内容を“暴露”したとされる。
高原容疑者は昨年末まで西松建設に在職していたが、退職後に特捜部に“自首”したようだ。
裏金疑惑を告発した「正義の味方」であるはずの高原容疑者は11月19日になって一転、特捜部に逮捕されるのだ。
《平成17年11月、香港の銀行口座で保管していた会社の裏金のうち30万米ドル(当時のレートで約3500万円)を、フィリピンの銀行に開設した自分名義の口座にタイから送金し、着服した業務上横領容疑》(特捜部調べ)
着服した裏金はフィリピンで購入したマンションの代金などに充てていたというから、相当なものだ。
自身にこれだけのことがあれば、検察に駆け込む時点で「自分のことを調べられれば逮捕されてしまうかも」と感じるのが自然だろう。それでも高原容疑者は検察に接触した。その理由は何だろうか。
ひとつには、「他に相次いだ裏金をめぐる事件の摘発を見て、高原容疑者は怖くなったようだ」(検察幹部)という見方がある。