2009年03月08日

Der Zibet、ISSAYによる『PRIMITIVE』全曲インタビュー【3/3】

DERZIBETアー写090306







さて。
一昨日からアップしてきましたISSAY氏によるアルバム『PRIMITIVE』全曲解説インタビューも今回がラスト。
東京公演は終了してますが、大阪公演はこれから。
どうぞ、日本中から大阪へ集結してくださいませ♪
アルバムを聴き込んだ後のライヴでの感じ方は絶対違うはずです!

      *      *
M10「HELLO! MY ANGELS」
ーーDer Zibet流のストレートなポップ・チューンですよね。曲がった感じが控えられてるというか(笑)。
ISSAY:それでなのか、一番歌詞を書くのに困った曲で(笑)。実は、もっとポップだったの。こんなに歪んだり汚れてる音が入ってなかったのね、当初は。それをどんんどん汚して荒くして歪んだものにしていったっていう。スゴいラウドで(騒々しくて)歪んだものにしていく中で、どういう歌詞にしたらいいんだろう?って悩んでいたら、Hikaruが”とにかくハッチャメチャな歌詞を書いてよ。アンタ大丈夫?ってくらいのを書いてみて”って言って。そう言われたら、なぜか”冥王星”って言葉が頭に浮かんできて、すぐ、神話に詳しいヤツにメールを送ったのね、”冥王星の神様って何だっけ?”って。そしたら”プルートだよ。○○○○な神様でね〜”みたいなやりとりの中でイメージが湧いてきて。ほら今、ネットで自殺予告だの、プロフだのが社会問題になってるじゃない? 
ーーそうですね。
ISSAY:そんなおかしなことが起こってる今、冥王星の神様が突然地球へやってきて、”もっと好き勝手やりなよ。みんな地獄へ行こうぜ! ベイベー”って言う、みたいな、ふざけた歌詞を書いたらどうなるだろう?と。そしたら…ノイズと相まってスゴい悪意のあるポップ・ソングになりました(笑)。
ーーやっぱり、ただのポップ・ソングに収まらない。毒を盛ってあるぞ!と(笑)。
ISSAY:そう、毒を一服盛った(笑)。
ーーそれに遊び心もいっぱいですよね。♪冥王星は寒いさ♪ってフレーズには爆笑(笑)。
ISSAY:笑えるでしょ?(笑) 冥王星の神様・プルートは蠍と蛇を従えてるのね。だから♪スコーピオンとスネイクは蒼ざめた♪っていう…くだらないっしょ?(笑) ちょっと笑えるけど毒があるもの、ポップなんだけど何かギスギスした感じのもの、そのバランスの中で遊ぶのが大好きなんだよね、僕は。

M11「LOVE SONG」
ーーストレートですね、曲タイトルからして。
ISSAY:これはホントにアレンジを死ぬほど変えた曲で。メロディーは、そんな大きくは変わってないんだけど、アレンジがだいぶ変わって、最もシンプルな形に落ち着いたっていう。それで歌詞でも普通のラヴソングを書いてみたいなと思って。今の僕が普通にラヴソングを書いたら、どうなるんだろう?と思って実験してみました。
ーー普通にラヴソングを書く…それって、こっ恥ずかしくありません?
ISSAY:そうそう、一番恥ずかしい(笑)。シンプルでストレートで普通のラヴソングを歌いたいと思ったこと、それが僕にとって大きなチャレンジでした(笑)。普通のロック・バンドなら、シンプルでストレートなラヴソングはみんなやるじゃない?
ーーですね。
ISSAY:なぜか僕やったことなかったから、ちょっとやってみようか、と思って。そしたら、こういう歌詞になって。あっ、ストレートに書いても、やっぱり曲がるんだなって(笑)。
ーーやっぱ曲がってしまいましたか(笑)。
ISSAY:人間が最も自分に対してストレートに出したものは、端から見ると曲がって見えるものなんですよ。それが個性だと思うし。その曲がり方が良しとされるか? 良くないとされるか?で、長所と言われたり短所と言われたりするだけで。つまり、短所だって出し方次第では長所になる。だとしたら今回は、僕の長所になってくれたらいいな、と思って。
ーー♪君が望むなら僕はやさしくもなれる♪っていう一節、全てを捧げる感じが極上のラヴソングだなと思いました。でも♪約束のない今を君と生きたい♪っていう一節には、主人公は2人の将来は思い描いてないのかな?と思ってしまったり。
ISSAY:(笑)
ーーそういったある種の無責任さも含め、ISSAYさん、そのまんまが出ているんでしょうか?(笑)
ISSAY:……僕はね、将来設計とかない人間なんで(笑)。えっ、普通のラヴソングだとどうなるんですかね?
ーー例えば”いつまでも永遠に君と生きたい”とか。
ISSAY:そこかっ!! あ、普通はそうなるんだね。そこか…今初めて知った(笑)。そうですよね…考えたこともなかった(笑)。言われてみれば確かにそうですよね。あの……僕、永遠に今だから(笑)。
ーーしかも”約束のない今”(笑)。
ISSAY:約束なんてない今。やっぱり、そういうところ、曲がってるんですね、何かが。
ーーそれを個性と言いましょうよ(笑)。
ISSAY:やっぱり、過去とか未来とかはないものじゃないですか。過去はもうないし、目の前に存在してるのは今だけなんですよ。そういう考え方は昔から常にあったのね。僕が信じられるのは今しかないから…と、言い訳させてください(笑)。

M12「RED MOON」
ーー静かで幻想的な曲。ちょっと宇宙に浮遊してるような。
ISSAY:この曲、死ぬほどメロの数があって歌詞をどうしたらいいか? スゴく悩んだんだけど、とにかく音から受ける印象が幻想的だったから、歌詞は僕の得意な幻想小説でいこうと思って書いたんですね。あり得ないようなことを歌いながら、共感してもられるものができたらいいなって思いつつ書いて。スゴく幻想的な恋人達の風景をSFテイストを入れて歌ってます。歌詞に出てくる”赤い月の海辺”ってどこなんだろう?って、想像を巡らせられるような世界観を出したかった。それともう1つ、僕は海沿いの街の育ちなので、原風景は海辺とか浜辺なんですね。よく僕の書く歌詞には海って言葉が出てくるのはそのせいなんだけど。昔、実家に帰ると、酔っぱらって海へ行って、大の字に寝そべって星を見ていたのね。そのイメージがスゴく強く出て
る歌詞なんじゃないかな?
ーーあぁ…夜、寝そべって星空を見ていると、地べたからフワッと浮き上がりそうな感じになりますよね。
ISSAY:なりますよね。特に酔っぱらって大の字になって浜辺で寝てるとね、空が下にみえるの。僕は浮いたまま覆い被さるように星空を見ている感じになる。だから不思議な歌詞かもしれないけど、見たとおり歌ってます(笑)。でね、曲はMahitoが作り溜めていた曲の1つで。今回、デビュー前のオリジナル・メンバー、Mahitoが復帰してくれるっていうんで、彼が作った曲をやりたいなっていうのがメンバー全員の意見で。いくつかの曲に僕が仮歌を入れてみたのね。そしたら一番難解そうなこの曲が一番シックリきたっていう(笑)。
ーー一番難解そうなのがシックリくる(笑)。
ISSAY:なんでだろうね? 敢えて選んだわけでもないのに(笑)。

M13「13番目の恍惚」
ーーこれは13年目、再始動にひっかけた曲ですか?
ISSAY:そう。Hikaruが作ってきたインストゥルメンタルなんだけど、何かタイトルいいのないかな?って考えて。特に今回、最後に発表したアルバムから13年目にして再始動するわけだし、通算13枚目のアルバムだから、何かに”13”って付けたいなと思ってて。じゃ、あの音に対して『13番目の恍惚』って付けたら綺麗かも知れないってことになって。そしたら、なんと、このアルバムの中でも13曲目に収まってしまったっていう(笑)。
ーー意図的にではなく?
ISSAY:なってしまいましたね。最初、別の所に置いたりもしてたし。最終的にココになって僕達も”13曲目で「13番目の恍惚」ってできすぎじゃねぇかな?”って言っていたくらいだから。でもね…結局、なるようになったんだなって思うんだよね。
ーーレコーディングって奇跡が起こる、とか言いますけど、これも奇跡だ、と?
ISSAY:奇跡の1つだね。レコーディングは奇跡の連続だし、化学反応の連続なんですよ。ホントに。考えられないこと、起きるもんね。何曲か、仮のギター・テイクをそのまま使っていたりするんだけど、ミス・トーンとかあっても、逆にそれがカッコよかったり。明らかに半音間違ってるのに。それって狙ってできることじゃないし。何なんでしょうね…レコーディング中、神様が降りてくるんだと思う、たぶん。コレばっかりは説明できないんだよね。今回、どの曲もそうなんだけど、化学反応をスゴく楽しんでいたね。ホントはそんなつもりで作ったんじゃないけど、みんなでやったらこうなっちゃった、だけどそれが面白いからOK!みたいなのを常に求めてやっていたから。

M14「ヒートアイランドの白昼夢」
ーーラストのこの曲も”PRIMITIVE”というテーマが色濃く感じられますね、打楽器が入っていて。
ISSAY:スティーブ衛藤さんの天才的なボンゴが入っていて。歌詞も”PRIMITIVE”っていうのを意識して書きましたね。現代における”PRIMITIVE”(=原始的な、根源の)ものって何なんだろう?って思いながら。これも1日5曲出来た中の一つなんだけど、アルバムのテーマ”PRIMITIVE”のイメージを喚起させる曲を作りたいっていうのがあって。”太鼓でジャングル・ビートっぽいの叩けない?”ってところから始まって、ベースはアフリカンな感じ、ギターは……って感じで曲のボトムの方から作っていったという、珍しいパターンの曲。普通はメロディーから作っていくのに。で、最初、作ったばっかの時は、アルバムの最後にもってくる気は全然なかったんだけど、ある時、仮ミックスしてたら間違えて曲の最後まで流しちゃったの、ホントはフェイド・アウトさせるつもりだったのに。でも、それが意外と面白いぞ、この形、この大きな曲だったらアルバムの最後にもっていくのはどうだろう?って盛り上がって。”このアルバムに描かれてるもの全てがまるで歌詞に出てくる白昼夢であったかの様な”くらいの話も相まって、エンディングに最もふさわしい曲になったんじゃないかな?と。
ーーいや〜ホントに奇跡の連続!
ISSAY:ホントにそう。いい化学反応がたくさん詰まってます、アルバム『PRIMITIVE』には。

      *      *

ーーアルバム『PRIMITIVE』を聴いて、こうしてISSAYさんにお話を伺って思うのは、13年の時間は空白ではなかった、ということでして。
ISSAY:みんな、他のことにかまけて13年間、怠けてましたっていう(笑)。
ーーそんなふうには誰も思ってませんよ!(笑)
ISSAY:それにタイミングもあったんだと思う。3、4年前だったら、またDer Zibetをやろうとは思わなかっただろうしね。実は4年前、Lynxを組んだ時、当時のメンバー(G.:SAY⇒ICHIROU、B.:heath、Ds.:魔太朗)が”Der Zibetの曲でライヴをやりましょうよ。ISSAYさんの地元、沼津で”って言ってくれて。まぁ、沼津だったらいいかな?と思って、全曲Der Zibetの曲でライヴをやったのね。その年はちょうど僕、デビュー20周年だったし、みんながお祝いのつもりでって言うから話に乗ってみたんだけど。で、その時、”じゃあHikaruも呼ぼうぜ”って話になって10年ぶりに一緒のステージに立ったんだけど…あれもDerZibet再始動の一つのきっかけにはなったのかな?って、今思えば。
ーーしかも今年はDer Zibet、結成25周年。
ISSAY:結成25周年、来年がメジャー・デビュー25周年。でも半分は休んでますから(笑)。だから、今回、再始動したけど、これからも続けていくのか?ってよく訊かれるの(笑)。その時は”13年は休みません”って言うことにしてる(笑)。
ーーぜひ、あまり間を空けずに活動してください(笑)。でも、13年ぶりにこういう作品を突き付けられると、13年間、休んでたんじゃなく、他で栄養を蓄えてきてたんだなって思うんですよね。やっぱり生きて年月を重ねていくというのは意味のあることだし。
ISSAY:そうそう。だから人間って無駄には生きてないんだなってスゴく思いましたよ、今回、みんなと一緒にやってみて。誰1人無駄には生きてなかったっていう。それがスゴく嬉しかったし、人生に無駄ってないんだなって非常に実感しました。13年の間が空いての今、一緒にやって、こんなに面白いんだって再確認したし。あのね、最近、リハーサル行くと、4時間くらいリハーサルしてその後5〜6時間、ずっと一緒にお酒を呑んでいるんですよ(笑)。”昔、こんなことしなかったよね? もしかして俺たち、今が一番、仲良いかもしれない”とか言いながら(笑)。


<Interview:Kimico Masubuchi>

      *       *

♪3回に渡ってお届けしたISSAY氏によるアルバム『PRIMITIVE』全曲解説インタビュー、いかがでしたでしょうか?
いいお話が伺えて、ついつい原稿も長くなってしまいました。
どうやら、今後もDer Zibetの活動は続いていくようです。
また、動きのある時は、こちらのブログでも取材させていただきたいな、と思ってます。
ISSAYさん、ありがとうございました!

【http://derzibet.com/】





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2009年03月07日

Der Zibet、ISSAYによる『PRIMITIVE』全曲インタビュー【2/3】5

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昨夜、新宿MARZへDer Zibetのライヴを観に行ってきました!!
13年ぶりの13枚目のアルバム『PRIMITIVE』の曲も積極的にメニューに取り入れられてましたし(しかも、オープニングがアノ曲とは!!)、もちろん、お馴染みの曲も盛りだくさん。
濃い内容のステージでした。
大阪公演を観に行かれる方、期待しちゃっててください!!
そして。
ステージ上のISSAY氏は紛れもない”Glitter STAR”であること、再確認しました。
さて。
もう、お手元には『PRIMITIVE』があることと思います。
どうぞ、音を聴きながら”『PRIMITIVE』全曲解説〜vol.2〜”をお楽しみくださいませ。

      *      *

M5「BLUE SUNDAY MORNING」
ーーこの鬱々とした雰囲気が、”BLUE”な気分を醸し出してますよね。
ISSAY:ですね。これも1日5曲出来ちゃった日に出来た曲なんだけど。”こんなリフの曲やりたいんだよね”ってHALがベースを弾き出したのに対して、Hikaruが”じゃ、こうしちゃおうか?”ってスゴくテンションの張ったコードを重ねて。そこに僕が鼻もげら語でメロディーを付けて…。こういう歪んだサウンドのロックは、後期Der Zibetが最も得意としたもので。
ーー失恋ソングかな?と思ったんですけど。
ISSAY:失恋って捉えてもいいし、例えば仕事の関係でスゴく遠くにいっちゃった友達や、亡くしてしまった友人として捉えてもらってもいいんだけど。今、目の前にいない人のことを思い出した歌詞ですね。

M6「SHININ' HOLIDAY」
ーー続く「SHININ' HOLIDAY」は対照的。キラキラしていて、穏やかで、ほんわかほっこりみたいな。
ISSAY:そう。今回のアルバムは音圧がスゴいことになるだろうなって予測できていたから、音圧の少ない曲を1個作ろうってことになって。Hikaruがアコースティック・ナンバーを作るってところで持ってきた曲。僕としては、もっと、ただのほんわかした曲にしてもいいかなって思ったんだけどね。
ーーもしかして、主人公はちょっと病んでます?
ISSAY:どこか病んでるね。なんで、ただのほんわかした感じになるか?っていうところを考えていくと、この歌詞に登場する主人公はどこか病んでるからだな、と思えたから。そんな彼だけど、なんだか今日はスゴく素敵な日だなっていう、そこに持っていってまとめたのね。
ーー曲の雰囲気からして、ちょっとシャンソンぽくも感じられるっていうか。
ISSAY:僕も初めてこの曲を聴いた時、”これシャンソンだな”と思った。だから、そういうニュアンスを強めに出した歌詞を書いてみたんだけど。このタイプの曲は、昔からDer Zibetってどっかでやってきてはいて、それが今回、このスタイルで来たんだなって。ただ今回は今まで以上にヨーロッパ大陸の方へ寄った感じはスゴくするかな。でも本家の方がやってるシャンソンじゃなくて、ロック・バンドがやってるシャンソンだなって…やっぱり僕らはロック・バンドなんだよね、なんだかんだ言っても。

M7「RETURNERS」
ーー正に”戻ってきたぞ!”という感じ。
ISSAY:帰ってまいりました(笑)。事故で怪我をしたHALも帰ってきたし、俺たちも帰ってきたぞ!と。今回、どっかで出したかったのね、帰還してきたっていうのを、俺たちはRETURNしたぞ!っていうのを。そしたら、インストのタイトルになってしまいました(笑)。この曲はレコーディング・スタジオでセッションして出来たんですよ。それをエンジニアの上田さんにリミックス感覚で仕上げてもらって。ダブっぽい感じで、本作の世界観を出す面白い曲になったんじゃないかな。

M8「LOVE YOURSELF」
ーー印象的なのはドラムですね。
ISSAY:とにかくMayumiのドラミングを前面に出した曲をやってみようかっていうところで作った曲なので。もうアイツの得意なタムの音だらけ(笑)。これでもか!っていうくらいタムを叩く、たくさん叩くっていうコンセプトで叩いたっていう(笑)。
ーーその力強いサウンドに乗った”Love Yourself”という言葉がグサッと突き刺さります。
ISSAY:デモを録ってる時に、なぜかそのキメ言葉が出てきて。”Love Yourself(=自分自身を愛せ)”という言葉が。なんか今の時代にスゴくいいかな、と思って。だけど、普通にそれをやっちゃったらつまらないから、セクシャルなイメージも入れちゃおう、と。
ーー”ビロード”とか”シルク”とか、言葉の醸し出す質感、いいです。
ISSAY:この歌詞はレコーディング初期の頃から書き始めていたから、どこかしら昔のイメージは引きずってると思う。昔から、こういう世界観はあるし得意な書き方ではあるんだけど、今、どう進化してるのか? 自分を試してみたかったのね、今回。で、直しに直して今の自分の形になったな、と。
ーーセクシャルとはいえ、どっかしら品があるのもISSAYさんならではじゃないですか?
ISSAY:あぁ…僕、あんまり生々しいの、得意じゃないから(笑)。

M9「SHADOWS' PARTY」
ーー80年代に流行ったマンチェ・サウンドの匂いもしつつ、21世紀の音であるという、そこがなんとも面白いっていう。
ISSAY:今、マンチェスター・ムーブメントの、あの人達が音楽をやったらどうなるか?っていう実験をやったの。それが、まずコンセプトにあったんだけど、結果、R&B色が強くなって時代的にはもっと古い音になったっていう(笑)。
ーー(笑)。でも描かれてる歌詞の世界観は80年代のマンチェスター文化が反映されてるというか。
ISSAY:うん、完全なバッド・トリップ。これもね、僕が見たとおり描いてるんだけど(笑)。
ーーえっ!? アノ時代、マンチェスターで…?
ISSAY:じゃなくて、例えば、繁華街を歩いてる時に見たことを、そのまま書いてるんですよ、この歌詞は。さっきの高層ビル街が廃墟に見えるって話じゃないけど、僕の目には繁華街の風景が、そう映るんです。なにか…そういう時ってあるじゃないですか? 人が多過ぎちゃって、ちょっと気持ち悪くなっちゃったとか、人混みの中、自分はココにいるのに、いないような感覚があるとか。
ーーあぁ。
ISSAY:その不在感を舞台設定を作って歌ったらスゴく解りやすく伝わるんじゃないかな?って思って。それがサウンドと相まってドラッグ・パーティーっぽく聞こえるだろうなっていうのは予想していたし。バッド・トリップの名を借りた、時代に対しての自分の不在感や喪失感、誰か大切な人がいない感じを描けたらいいな、と思ったんですよ。今回、僕が一番意識したのは”今は21世紀である”ってことなのね。後ろ向きになっちゃってウジウジしてる時代じゃないと思う。それが伝わったら嬉しいかな。

<Interview:Kimico Masubuchi>

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♪本インタビューの第3回目は、明日、3:33〜、本ブログにてアップいたします。

【http://derzibet.com/】





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2009年03月06日

Der Zibet、ISSAYによる『PRIMITIVE』全曲インタビュー【1/3】5

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お待たせしました。
本日から3日間、3回に渡って、ISSAY氏によるニュー・アルバム『PRIMITIVE』全曲解説インタビューをお届けします。

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本日3月6日にリリースされる通算13枚目のアルバム『PRIMITIVE』は”Der Zibet健在”を示すには十分すぎるくらい濃厚な作品である。
しかし、だからといって"13年前のまんま"ということではない。
本作を制作する際、メンバーは21世紀であることを意識し、新しい表現方法を模索した。
数々のレコーディング・ミラクル、メンバー同士がぶつかって起こった化学反応…偶然が重なって出来上がった『PRIMITIVE』は、活動を止めていた13年という時間が無意味でなかったことの証でもあるのだ。
一度封印したDer Zibetの活動、その再スタートを華々しく飾る本作について、1曲ずつ丁寧にISSAYに話を訊いた。

      *      *

M1「震える月のケミカルビート」
ーーまずCDをプレイヤーに入れてSTARTキーを押した瞬間、流れてくるこの曲を聴いて、”Der Zibet健在!”って皆さん、思うんじゃないでしょうか?
ISSAY:確かに、この曲が出来たことでバンドのモチベーションも上がったし、今回のアルバムのイメージ、”PRIMITIVE”の世界観がスゴく膨らんだっていうのはありますね。これはね、Hikaruが最初のリフを持ってきたんですよ、”エキゾチックなリフの曲がほしいな”って話をしていたら。で、バンドでセッションして、いきなり上手くできちゃいました、みたいな。この曲が出来た日のリハは今でも覚えているけど、スゴい実りの多い日で。セッションしながら1日で5曲作ったのかな。
ーースゴい勢いですね!
ISSAY:まぁ、元ネタがある曲もあったんだけど。特に、この曲の形がある程度見えた時、アルバムのレコーディングはスムーズに行くだろうなって確信したし、”これはもうアルバムの1曲目だね”って全員一致で決まったのね。
ーーそれくらい本作にとって重要な1曲。
ISSAY:うん、キーになる曲。
ーー歌詞は、近未来の廃墟の中で少年少女達が活き活きと踊ってるイメージ。こういうタッチの歌詞は以前からありますが。
ISSAY:そう、昔からDer Zibetの歌詞にある、廃墟の中でも元気な少年少女達を描いてますね。2ndアルバム『Electric Moon』に入ってる「Electric Moon」とか、もろ、そういう世界観なんだけど、本作でも21世紀型のそういうものができないかな?と思って。
ーーそのシチュエーションって何かISSAYさんの強烈な体験と結びついてるんですか?
ISSAY:昔、新宿の辺りに住んでいたことがあって。駅からとぼとぼと歩きながら目に飛び込んでくる高層ビル街の景色が廃墟に見えたのね、僕の頭の中では。<もしかして、この高層ビル街って未来のピラミッドなのかな? ここも未来の廃墟になるんだろうな…>って思いながら、いつも見ていて。そのイメージが今でも抜けないっていう。
ーーそんな廃墟の中でも若者は元気だぞ、と。生命力が溢れてますよね、サウンドも相まって。
ISSAY:そういうボロボロのところでもガキどもは元気だぞ! タフだぞ!と。それが今までの作品について回っていたし、今回のテーマの根底にもありましたね。やっぱり、そこが人間の”PRIMITIVE”なところだと思うから。

M2「PRAYER」
ーー5/8拍子、6/8拍子の繰り返しで構成されるのが面白いです。5/8の部分は煽られて逃げてるようなスリリングさがあって、6/8でフワッと…。
ISSAY:世界が広がるでしょ?
ーーそうそう。
ISSAY:だけど、なんだか知らないけどイントロは8/8(笑)。最初、Mayumiが口ずさんだ面白いリフを元に、みんなでセッションしてたんだだけど、なかなか曲にならなくて。そのリフをHikaruが家へ持って帰っていじくっていたら、”気付いたら5/8のリズムになっちゃったんだけど”って言って形にして持ってきたっていう(笑)。結局、Mayumiが作ったリフはイントロの部分にだけ残って、その後はHikaruが作った5/8になって。ほら、よく変拍子のための変拍子ってあるじゃない?
ーーありますね。
ISSAY:僕、そういうの、あんまり好きじゃなくて。なんだけど、デモテープを聴いたら、ものすごく必然的な変拍子だったから、これはいい!と思って。で、作ってみたら、思いの外パワフルで、変拍子の嵐のくせにポップになったっていう。今のDer Zibetを象徴してる曲になった気がして。どこか曲がってマニアックな部分っていうのは残しておきたいバンドなので、それが一番ポップに出た曲なんじゃないかな。
ーーあと特筆すべきは間奏の長さ(笑)。
ISSAY:異常に長いよね(笑)。これ、何も決めずにやったの。とにかく、ガッと盛り上げてスコンと落として、また盛り上げてBメロに戻ろう、ってことしか決めてなくて。小節数なんか何も決めてなくてやったら、あんなに長くなっちゃった(笑)。歌詞は最初、単純にオーディエンスやリスナーに対してのラヴソングを作ろうと思ったんだけど、書き直しているうちに、もうちょっと広い世界観になりました。
ーー歌詞は♪この狂った世界の中で あなたと生きたい♪という力強い祈り(PRAY)ですよね。でも…お会いするとISSAYさんご自身は、生きる!って力強いイメージの方じゃないというか…(笑)。
ISSAY:ま、生命力なさそうですからね(笑)。
ーーすみません、繊細な雰囲気で、あまり頑丈な感じがないものですから(汗)。
ISSAY:でもね、”生きる”という願いは強いですからね、人はみんな。

M3「PRIMITIVE STAR」
ーーこのシャッフルのノリ、正にグラム・ロックだ!と思ったんですが。
ISSAY:僕、結局、なんだかんだ言って、お里がグラム・ロックだから(笑)。お里がグラム・ロック、ゴス経由、やっぱロック好き、みたいな人だから(笑)。
ーー寄り道しても、お里が恋しい(笑)。
ISSAY:お里が恋しい、なんだかんだ言って戻っちゃう(笑)。シャッフルの曲、アルバム中1曲はやりたいなって話をしていて。最初、Hikaruは乗り気じゃなかったんだけど、家で作ったら気に入ったシャッフルの曲が出来たから、ぜひやりましょうってことになって。
ーー曲タイトルは、どう解釈したらいいんでしょう?
ISSAY:原始的というか根源的なスター…あるがままのロック・スターっているじゃないですか?
ーー作られたスターではなく、生まれながらのスター、みたいな。
ISSAY:そういうイメージ。最近、そういう存在が少ないなと思って。やっぱり、僕はそういうスターが好きで音楽始めたわけだから、そういう人に対して歌いたいし、僕もそうなりたいし。
ーー”Glitter STAR”に。
ISSAY:そうですね。
ーーISSAYさんの出で立ち、声…存在そのものが今のままで十分、”Glitter STAR”だと思いますよ。
ISSAY:そうですかね?(笑)
ーーええ、間違いなく。そんなきらびやかな曲の中で”しみったれた”という言葉が用いられてるの、笑ってしまいました(笑)。
ISSAY:そこね、自分で詞を書いていて笑っちゃったもん(笑)。

M4「VANESSAの情動」
ーー”VANESSA”…って女性の名前ですか?
ISSAY:ですね。曲を聴いた時、なぜか”VANESSA”って言葉が出てきたのね。で、VANESSAとは誰だろう?と自分の中で考えたら、ある風景が思い出されて。20年くらい前、都内の某ラブホテル街にあるパントマイムのスタジオによく通っていたんだけど、当時、あの辺りにはラテン系のパッツンパッツンの格好したお姉ちゃんがワーッと立って客引きをしてたの。あの人達の生命力を目の当たりにした時に、スゴいな〜と思って。大好きだったの、スゴく安っぽい香水を臭いくらいにいっぱい付けてる、あのお姉ちゃん達が(笑)。
ーー……えっ!?
ISSAY:あ、そういう意味じゃなくて(笑)。だって、カッコいいんだもん、あの女性達<ひとたち>。あのメチャクチャ元気いい感じがね。
ーー力強く明るく、体を張って生きていく女性の生き様、このジャングル・ビートからも感じられますよ。
ISSAY:ちょっとボ・ディドリーなのか? ジャングルなのか? っていうあのビートは面白かった。スゴく新しかったし。で、あの人達のことを歌おうと思って書いた歌詞をHikaruにメールで送ったら”もっと音として面白くしたい”って言って直してきたのね。でも僕としては”娼婦の歌だから、こういうフレーズは絶対入れたいんだ”と譲れない部分は主張して。交換日記のようなやりとりをしながら作ったっていう。レコーディングで初めてコレを歌った時、ベースのHALにも訊かれましたね、”VANESSAって誰?”って。で、僕はまた”あのね、あそこの街にね…”って説明をして。思い出していたらVANESSAに会いたいな…なんて懐かしくなったり(笑)。
ーーVANESSAって名前じゃないかもしれないけど(笑)。
ISSAY:きっと違うだろうけど(笑)。

<Interview:Kimico Masubuchi>

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♪本インタビューの第2回目は、明日、3:33〜、本ブログにてアップいたします。

【http://derzibet.com/】




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