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【政治】

『政府高官』実名公表 幕引きへ異例の対応 

2009年3月9日 07時05分

 「政府高官は漆間巌官房副長官」−。河村建夫官房長官は八日、西松建設の巨額献金事件で「自民党議員に捜査は波及しない」と発言した政府高官の名前を明らかにした。小沢民主党代表の検察批判に根拠を与えかねない失言だけに、異例の実名公表で幕引きを図る必要に迫られた。 (佐藤圭)

 民放の報道番組。司会者から「政府高官をご存じなんですか」と問われると、河村氏は「高官は漆間副長官」とあっさり認めた。

 漆間発言が飛び出したのは、五日に官邸で開かれた記者団との「オフレコ懇談」。匿名を条件に、政策、政局の意見や背景説明を聞く場だ。

 漆間氏は「(自民議員に波及する可能性は)ないのではないか」との見通しを示した。報道各社は「政府高官」「政府筋」の発言として伝えた。

 オフレコ懇談の発言内容を問題視した報道機関が発言者を報じるケースはあるが、政府自ら公表するのはまれだ。現に今回も、河村氏は六日の記者会見で「(発言は)承知していない」としらを切っていた。

 しかし、「国策捜査」の“証拠”を探していた民主党が見逃すはずがない。

 民主党は九日の参院予算委員会で政府側の見解をただす構えを見せた。

 民主党の動きに河村氏も「いつまでもオフレコだから知りませんで済む話ではない」と判断。七日夜、麻生太郎首相に実名公表を進言した。首相も「(捜査情報を漏らしたとの指摘は)あり得べくもないから、はっきりした方がいい」と了承した。

 政府は、漆間氏を厳重注意するとともに、漆間氏に記者会見などで釈明させることで事態収拾を図る考えだ。

 だが、漆間氏が検察と無関係だったとしても、疑惑を招く失言であることに変わりはない。これを契機に「国策捜査」との印象が広がれば、政権のイメージダウンは避けられない。

 一方、小沢氏をめぐる違法献金事件で逆風が吹き荒れる民主党にとっては、格好の攻撃材料。この問題が永田町で新たな火種になってきた。

(東京新聞)

 

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