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外国人集客へ国交省が来年度「観光庁」創設方針

 国土交通省は、観光産業の振興策を手がける「観光庁」を来年度に創設する方針を決め、2008年度の組織・定員要求で財務省などに求める。「観光立国」の実現へ向けて体制を強化し、外国人観光客の誘致や、魅力的な観光地を整備する狙いがある。単に既存の観光担当部門を移すのではなく、効果的な政策を実行する能力が問われそうだ。(佐藤千尋)

 冬柴国土交通相は22日、訪問先の上海で、「政府一体となって観光立国の推進に取り組めるようにしたい」と述べ、観光庁の創設に意欲を示した。昨年12月に国会で「観光立国推進基本法」が成立した際には、衆参両院でも設置を求める決議が行われている。

 国交省の観光行政は現在、総合政策局の審議官(局長級)をトップに、観光事業課、国際観光課など6課、約80人が担当している。

 構想では、これらを外局の観光庁に移す一方、スタッフも増員し、2010年までに外国人観光客を1000万人にする「ビジット・ジャパン・キャンペーン」など、観光政策の取り組みを強化する考えだ。

 海外で観光PRを強化する一方、観光ビザ発給の手続き緩和を巡る関係省庁との調整や、地域観光の振興事業なども手がける。

 国交省が観光庁創設を目指すのは、日本は外国からの観光客数が主要国・地域に比べて少なく、誘致戦略が出遅れているという危機感が背景にある。

 観光大国フランスには、2005年に国外から7600万人の観光客が訪れたが、日本への外国人観光客は、06年に733万人と最高を記録したものの、フランスの約10分の1にすぎない。

 世界全体では32位(05年)にとどまり、アジアでも7位(同)と、トップ3の中国、マレーシア、香港を大きく下回っている。

 海外では、英国政府観光庁、フランス政府観光局など、多くの国が観光行政を一元化し、外国人観光客の誘致に取り組んでいる。

 日本も観光庁を設けることで、対外PRなどの専門的な人材育成を進めるなど、誘致戦略を強化したい考えだ。

 だが、行政のスリム化が求められている中、安易に外局を設けることには、批判も予想される。

 このため、国交省は観光庁を新設する一方で、国交省全体の組織や人員の一部削減も検討しており、「行政組織の肥大化」につながるという批判をかわしたい考えだ。

 千葉大学の新藤宗幸教授(行政学)は、「観光庁という枠組みを作るだけでは意味がない。観光立国に向けた取り組みをいかに進めるか、自治体と協力しながら観光基盤をどう整備していくかなど、観光政策の具体策を打ち出していく必要がある」と指摘している。

2007年8月27日  読売新聞)

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