岡山県に初めて誕生したプロチーム・ファジアーノ岡山はきょう、岡山市の桃太郎スタジアムでヴァンフォーレ甲府との開幕戦に臨み、夢だったJリーグ2部(J2)へデビューする。
Jリーグ1部(J1)に自動昇格できる三位以内を目標に置いているという。はつらつとしたプレーを展開して岡山県のサッカーの歴史に新たな一ページを開いてほしい。
一月下旬から二十五日間の大分キャンプを終えたが、けがなどによる選手のリタイアもなかった。攻撃面では、前線からプレスをかけボールを奪い速攻に移す戦術を磨いてきた。課題の守備も安定感を増している。J1との練習試合ではFC東京やサンフレッチェ広島に快勝し、仕上がりは上々だ。
初戦で対戦する甲府は、J1経験のある強敵である。昨年の天皇杯では3回戦で対戦し0―1で敗れている。雪辱して波に乗りたいところだ。昨年の日本フットボールリーグ(JFL)でも、初戦に快勝し自信を付けたことが、その後の快進撃につながった。
J2は北は札幌から南は熊本まで全国各地の十八チームがしのぎを削る。レベルが格段に上がる中で、試合数も三十四から五十一試合に増え、遠征しながら長丁場を戦い抜かねばならない。ファンの大声援で選手たちの戦いを支えたい。
岡山にサッカーのプロチームが存在する意義は大きい。試合には全国からサポーターが集まり、宿泊、飲食、観光などにぎわい創出の波及効果は計り知れない。岡山は交通結節点に位置しているだけに、メリットを生かすことができる。
それ以上に重要なことは、Jリーグが掲げているスポーツ文化創造の理念だ。プロチームには必ず拠点都市の名前が付いている。チームが郷土のシンボルとなり住民を結集させる力が期待されている。試合での声援だけでなく、チケットやグッズ販売、客席の誘導など運営面をボランティアが支える。チームが成長する喜びを住民が共有することで、地域の活力も生まれてくるだろう。
プロスポーツの維持には、地域の総合力が試される。ファジアーノの今季予算はJ2平均の十二億円に対し約五億円と最低レベルの苦しい台所だが、一人でも多くのファンが会場に足を運べばチームの奮起と運営に相乗効果が生まれよう。
さあ、キックオフだ。郷土の誇りを背負って戦うチームをこぞって応援したい。
北朝鮮が長距離弾道ミサイル「テポドン2」の発射準備とみられる動きを見せている。北朝鮮は「人工衛星」と表明しているが、発射するロケットが「テポドン2」とみられ、日本は「運搬手段でいうと、弾道ミサイルとほぼ同一」(藪中三十二外務事務次官)として警戒する。
日本は、二〇〇六年七月の「テポドン2」などの連射を非難し、ミサイルに関するあらゆる計画の停止を求めた国連安全保障理事会の決議に違反するとけん制している。発射されれば、新たな制裁措置を含む決議の採択を目指す方針だ。
また、北朝鮮は韓国で九日から始まる米韓合同軍事演習の期間中、日本海上の北朝鮮領空周辺を通過する韓国民間機の安全を保証できないとの声明を出した。既に大韓航空の北米便などが航路の変更を余儀なくされている。演習をけん制するとともに、「人工衛星」打ち上げとの関連を指摘する声もあり、影響が広がっている。
北朝鮮には、オバマ米新政権との交渉に先手を打つ狙いがあるとみられる。敵対国とも対話する姿勢を示しているのがオバマ政権であり、六カ国協議よりも先行して直接協議を進めようという思惑がありそうだ。現在、米政府で北朝鮮問題を担当するボズワース特別代表が六カ国協議の関係国を訪問中で、ミサイル発射阻止などを目的に早期に訪朝する意向を表明した。米朝の直接対話が状況を打開する糸口になるかもしれない。
ミサイルが日本に向けて発射された場合に備え、防衛省が迎撃も視野にイージス艦を日本海に派遣する方針を固めたという。もし発射が強行され、日本が迎撃に踏み切れば北朝鮮との摩擦の激化は必至だ。北朝鮮に自制を促すため、オバマ政権が踏み出すことも必要だろう。
(2009年3月8日掲載)