2005年12月、丸子実業高校(現丸子修学館高校、上田市)の男子バレーボール部員だった高山裕太君=当時(16)=が北佐久郡御代田町の自宅で自殺し、遺族と、県、部顧問や元部員らが対立している3つの訴訟の判決が6日、長野地裁であった。近藤ルミ子裁判長は、ハンガーで高山君の頭をたたいたことに対する慰謝料として上級生の元部員1人に1万円の支払いを命じる一方、県に対する遺族の賠償請求は「学校や県教委に監督義務違反があったとは言えない」と棄却した。
これに対し、部顧問と元部員らが「執(しつ)拗(よう)な非難を受け、名誉を棄損された」などとして遺族に慰謝料を求めた訴訟では、30人中23人について「私生活上の平穏を違法に侵害した」として、遺族側に計34万円余の支払いを命じた。
近藤裁判長はハンガーでたたいたことについて「指導の名目であっても人の身体に直接、力を行使することは許されない」としたが、「(高山君が自殺する前の)家出やうつ病発症の原因になったと認める証拠はない」と判断した。また、うつ病と診断された高山君に登校を促した学校側の対応は「必ずしも自殺の危険性を高める行為とは言い難い」とした。
遺族側の弁護士は判決後に記者会見し「なぜ裕太君が自殺したのか、その判断を回避している点が1番の欠陥」とし、控訴する考えを示した。
元バレー部保護者らも会見し、「しかるべき判決」と評価。遺族側が控訴した場合は付随して控訴することも検討する−とした。村井知事は「県の主張を認めていただいたが、将来ある若者の尊い命が失われたことは誠に残念。ご冥福を心からお祈りする」とのコメントを出した。
遺族側は06年3月、自殺したのはいじめなどが原因として提訴。その後、部顧問や元部員らが遺族に名誉を棄損されたとして逆提訴した。遺族側は逆提訴が「乱訴に当たる」として反訴した。