検察情報を一方的にタレ流すだけの大マスコミ報道をうのみにしない政治プロの間では、今回の「小沢事件」にもうひとつの見方が出ている。「米国の圧力説」だ。どういうことなのか。ジャーナリストのベンジャミン・フルフォード氏がこう言う。
「小沢氏の失脚で、結果的に誰が喜ぶのかといえば米国です。対等な関係を主張する小沢・民主党政権が誕生し、日米関係の見直しを強行されれば大ごとになる。“属国”の日本を手放したくない力が働いたとしても不思議ではない。今回の件は、故田中角栄首相が失脚したロッキード事件と構図が似ています」
ロッキード事件では、田中首相が親アラブ政策を打ち出し、米国に頼らない独自の石油外交を展開したことが米メジャーを刺激。米国が日本政府に圧力を掛けたのがきっかけで起きた――とされる。中曽根康弘元首相も、著書「天地有情 五十年の戦後政治を語る」で、「ロッキード事件の原点は田中角栄の石油政策」と書いていた。
政権交代が現実味を増す中で、小沢代表が「米国に唯々諾々と従うのではない」と、ヒラリー国務長官との会談をいったん断ったり、「極東を防衛する米軍は第7艦隊で十分」と踏み込んだりした発言が、米国を“刺激”したとみられているのだ。
これにダメ押ししたのが、米国の金融危機である。
「米国は景気対策で約230兆円の国債発行が必要になっている。しかし、これだけの米国債の引き受け手は、世界を見渡しても、中国に次いで米国債を保有する日本(53兆円)くらいしかない。これが小沢・民主党政権誕生で『要求通りには、買えません』なんてことになれば、米国経済は間違いなく行き詰まる。米国の政財界から『小沢を何とかしろ』という圧力があってもおかしくはないのです」(経済ジャーナリスト)
「うがった謀略史観」といえばそれまでだが、符合すること、うなずけることがいっぱいだけに、見逃せない話だ。
(日刊ゲンダイ2009年3月5日掲載)