|
ミサイル発射、そして核実験を強行した北朝鮮。
その裏で、この国の人々はどう生きるのか。潜入映像には、彼らのありのままの姿が納められていた。
北朝鮮の港町、清津の海岸。浜辺に並んだ船は、どれも木製。燃料が手に入らないためエンジンは着いていない。海に出るには自分の手で船を漕がねばならない。
ここから南東200キロ足らずの海域に北朝鮮のミサイルが着弾したとされる。7月5日、テポドン2号を含む計7発のミサイルを相次いで発射した北朝鮮。
潜入映像は、北朝鮮がミサイル発射実験を行った直後に撮影された。
人々が行き交う市場の道で、すでに息絶えた子供が倒れていた。コッチェビと呼ばれる浮浪児だ。
「この子は死んですぐじゃないか。死んだらすぐ片付けるから」。映像を見て話すのは3年前に脱北した日本人妻のAさん。いわゆる帰国事業で北朝鮮に渡り、43年間、清津近郊で暮らしていた。
5年前に脱北した日本人妻、斉藤博子さんは「死んでいる子供が1~2人ぐらいなら皆がどうにかすることもできるかもしれないが、どうすることもできない。食べていくのに一生懸命だから。人のことを見るというのがなかなかできない」と厳しい現実を語った。
日が昇るにつれ、浜辺には続々と人が集まってきた。人々はここに、商売をするための海産物を仕入れるためにやって来るのだという。
軍隊も自ら漁に出て商売をする。「軍隊も食べるために、配給だけでは足りない。北朝鮮では軍隊の方が泥棒になるのが多い」とAさん。
北朝鮮が行ったミサイル発射と核実験。その現実は、同じこの国で生きる人々の暮らしとはあまりにも大きな開きがある。
日が暮れて人気のなくなった海岸。船の中でコッチェビたちが身を寄せ合って眠っていた。
「毎日毎日、食べるのに一生懸命。泥棒しながらでも食べていく子供たちがたくさんいる。核実験とかミサイルとか、そういう事に対して金正日がどういう思いか分からないが一般の人に関係ないじゃないか…」と北朝鮮で40年間暮らした斉藤さんは語った。 |