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2009年3月8日

◎中だるみの能登空港 なお地元の利用伸ばす努力を

 開港から六年目の能登空港で、首都圏の利用が伸びている半面、地元の搭乗率がしりす ぼみの「中だるみ」が見られる。景気悪化の影響が及んでくる可能性もあり、空港を不時着させないよう、このへんで気合いを入れ直したい。

 石川県と能登空港利用促進同盟会が珠洲市から宝達志水町に至る同空港利用エリアの四 市五町に対して合計四千席の年間利用アップの目標を新たに設定した。上乗せ分の四千席は地元搭乗率のほぼ1%アップに相当し、各市町で団体利用を掘り起こして達成したいとしている。

 昨年七月七日から六年目に入り、一月末現在までの搭乗率は63・5%である。全日空 と取り交わしている保証制度では年間搭乗率が58%を切ると、地元が全日空に補償金を出すことになっている。

 まだ、そこまで落ちていないのだが、搭乗率63・5%の内訳をみると、首都圏が五年 目の同期より微増して49・8%であるのに、地元は13・7%と低迷している。最初の年は30%弱までいき、二、三年目も20%を超えた発足時の勢いがなくなっているのだ。景気悪化を考えると、安心できない。なお努力が要ると受け止めて踏ん張りたい。

 保証制度では年間の目標搭乗率を62%としており、年間の利用者が十六万人弱で、こ の目標をクリアできる。能登空港を利用できるエリアの二十歳以上の人口は約十八万人だから、単純計算ではエリアの成人が一人一回利用すれば目標を超えることができるのである。今までは同盟会が相撲観戦ツアーなどの企画を立ててきたが、これからは各市町が住民のニーズを把握して団体で出掛ける旅心をそそる企画を考え出すことも重要だ。

 それとともに、能登の魅力を首都圏にもっとアピールしていきたい。七尾市の和倉温泉 旅館協同組合が市営グラウンド二カ所で冬芝の種をまき、夏場だけでなく冬でも使えるように整備し、全国に向けてスポーツ合宿の誘致に乗り出した。和倉温泉が打ち身、ねんざなどに効果的なことに着目した試みだ。こうした努力も空港の活性化につながる。

◎BCリーグが受賞 今年も「スポーツ市民」で

 三年目のシーズン開幕を目前に控えているプロ野球独立リーグ・BCリーグに朗報が届 いた。スポーツ健康産業団体連合会が創設した地域・スポーツ振興賞で、リーグの発足当初から取り組んできた自動体外式除細動器(AED)普及事業「ミキトAEDプロジェクト」が最優秀賞に選ばれたのである。スポーツを通じて地域に貢献する「スポーツ市民」としての取り組みが評価されたのは、喜ばしい限りだ。

 石川ミリオンスターズや富山サンダーバーズの選手たちにとっても、この受賞は励みに なろう。今年も、二十日にはオープン戦、来月十一日には公式戦がスタートする。プレーではもちろん、地域貢献でも他のチームに負けないという意気込みをもってシーズンに臨んでほしい。

 AED普及事業は、「野球の試合前に急性心不全で死亡した新潟県糸魚川市の少年の悲 劇を繰り返さない」との願いを込めて始まった。球場で少年の名を冠したリストバンドを販売し、その収益でAEDを購入しており、これまでに石川、富山県などに計八台を寄贈している。今後も、BCリーグのよき伝統として、六チームがスクラムを組んで息長く続けていきたい活動である。

 リーグ共通の活動に加え、チーム独自の取り組みにも一層力を注いでもらいたい。AE Dは、設置数がいくら増えても、正しく使える人が増えなければあまり役に立たない。たとえば、選手自身が使い方を学んだり、試合の前に講習会を開いたりすれば、寄贈したAEDを生かすことにもつながるだろう。救えるかもしれない人を一人でも多く救うために、各チームがアイデアを競い合ってほしいものだ。

 もちろん、AEDの普及だけが地域貢献ではなく、ほかにもできることがいくらでもあ る。地域のために、グラウンドの外でも大いに汗を流してほしい。試合の後に多くの地元ファンの祝福を受けながら勝利の美酒を味わいたいなら、よって立つ地域に深く根をおろし、ともに歩む姿勢を忘れないでもらいたい。


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