小沢一郎民主党代表の資金管理団体「陸山会」を巡る政治資金規正法違反事件で、準大手ゼネコン「西松建設」が同法で定められた限度額(総枠制限)を超えて献金するために、事件の舞台となった二つの政治団体を設立したことが関係者への取材で分かった。東京地検特捜部も同様の経緯を把握しており、西松建設側が陸山会の会計責任者、大久保隆規容疑者(47)の前任者に当たる小沢氏の元秘書との協議を経て、違法な献金システムを構築したとみている模様だ。
政治資金規正法は政治団体の代表者が「会計責任者の選任及び監督について相当の注意を怠ったとき」に50万円以下の罰金と規定している。特捜部は、小沢氏の監督責任の有無についても慎重に捜査を進める模様だ。
二つの政治団体は、西松建設OBが代表の「新政治問題研究会」と「未来産業研究会」。政治資金規正法は、企業が1年間に献金できる金額に限度額を定めている。資本金が多いほど限度額も高く、西松建設(資本金約235億円)は4500万円。政治団体にはこうした制限はない。
捜査関係者らによると、西松建設は95年ごろ、大久保容疑者の前任者の元秘書から政治献金の増額を要求された。小沢氏以外にも多くの国会議員や政党に幅広く政治献金を行っており、増額すると限度額を上回るため、前社長、国沢幹雄容疑者(70)の発案で同じ年に新政治問題研究会、98年に未来産業研究会を設立、2団体を介した政治献金を実行した。
政治資金収支報告書などによると、西松建設と2団体は98年、小沢氏が党首だった自由党の政治資金団体「改革国民会議」や自民党の政治資金団体「国民政治協会」など18団体に総額5192万円余と限度額を600万円以上超える献金を行った。ピークの99年は西松建設だけで4004万円余に上り、2団体を加えると総額は7741万円余に達した。
これらの献金額は総務省と岩手県への届け出分を合算した数字で他の自治体への届け出分が含まれておらず、実際の献金額はさらに膨らむとみられる。
◇西松建設側の政治献金◇
年 総額 西松建設 政治団体
98 5192 2155 3037
99 7741 4004 3737
00 4376 1756 2620
01 4219 1829 2390
02 4323 1923 2400
03 3542 1792 1750
04 3088 1708 1380
05 2608 1208 1400
06 1208 708 500
07 708 708 --
*単位・万円。政治団体は舞台となった2団体で06年に解散
毎日新聞 2009年3月7日 2時30分(最終更新 3月7日 2時46分)