美作市の県立江見商(遠藤昌樹校長、25人)が7日、61年の歴史に幕を閉じた。先月20日には学校を目指して28キロを夜通し歩く「オーバーナイトウオーク」があり、参加した生徒全員がそろって完歩。最後の思い出を胸に刻んだ。
同校は、地域に根ざした人材を育成しようと県立林野高江見分校として48年に開校し、63年に現在の名称となった。卒業総生徒数は5446人。生徒数の減少のため、4月から新林野高に統合される。
300年の伝統を誇る獅子舞の同好会でも有名。後継者不足で途絶えかけていた地元の獅子舞を地域住民から受け継ぎ、秋祭りで演舞して好評を得てきた。伝統文化の灯火(ともしび)を消さぬよう、新林野高でも同好会を存続させる予定だ。
「オーバーナイトウオーク」には生徒21人と保護者らが参加し、悪天候の中、午後8時に道の駅あわくランドを出発した。歩き始めてまもなく「もう車に乗ってもいい?」などと音を上げる生徒もいたが、励まし合いながら28キロ先の母校を目指し、午前5時15分ごろに全員がゴールした。生徒は「自信がついた」「やって良かった」と笑顔を見せた。同校の鳥越誠教諭は「くじけずに頑張れば目標にたどり着ける経験を、これからの人生で生かしてもらえれば」と振り返った。
7日の閉校式には生徒や保護者ら約250人が出席。生徒は学校での思い出や周囲への感謝の言葉を語った。【坂根真理】
毎日新聞 2009年3月8日 地方版