2009年03月07日
【ワシントン7日時事】1月に就任したばかりのオバマ米大統領が、早くも2012年の再選を意識した動きを見せている。就任後に公務で遊説した先は、6日のオハイオ州を含め、昨年の大統領選で激戦を繰り広げた州に集中。現職大統領の利点を最大限に生かして基盤を固めようとするしたたかな戦略がうかがえる。
大統領は6日、オハイオ州コロンバスの警察学校卒業式で演説し、「景気対策法により、オハイオ全土で警察官、教師、消防士の雇用が奪われずに済む」と力説。さらに「今の経済状況を招いた政策を繰り返せばいいと信じ込んでいる人たちがいる」と、同法に反対した共和党を厳しく批判し、選挙演説さながらの攻撃姿勢を示した。
大統領は遊説先から重要政策を発信するケースが目立つ。2月17日にはコロラド州デンバーで景気対策法に署名。同27日にはノースカロライナ州の海兵隊基地で、イラク駐留米軍の撤退計画を発表した。また、経済政策の対話集会をインディアナ、フロリダ両州で開いたほか、バージニア州の公共工事現場を視察。いずれもオバマ氏が大統領選で、共和党の連勝を止めた激戦州だ。
2月18日には共和党の対抗馬だったマケイン上院議員の地元アリゾナ州で、住宅差し押さえ対策を発表。昨年の選挙では同州で勝てなかったものの、州知事だったナポリターノ氏を国土安全保障長官に据えるなど、次回勝利に向けた意図が見え隠れする。
「大変な混乱を引き継いだ」と大統領自身が認める通り、4年の任期のかなりの期間、ブッシュ前政権の「負の遺産」の処理に追われるのは必至の情勢。11年末までのイラク完全撤退や、350万人超の雇用創出、財政赤字の半減といった目標を着実に達成できるかどうかが、再選のカギとなりそうだ。(了)
[時事通信社]