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バクマン。(2) 漫画家をめざす二人の少年の物語です。2巻目出ました。うぉぉ。ついに主人公たちプロデビューしてしまったぜ。 服部さん、いい編集者だなぁ。適度に誉めてくれて、適切なアドバイスくれて……。 で、その服部氏が漫画の持ち込みに来た主人公たちに言うセリフ「漫画ってバクチだからね」。 主人公のサイコーくんの叔父さん、漫画家の川口氏が言うセリフ「漫画家はギャンブラーだ」。 ああ、これライトノベルの編集はたまに言うなぁとしみじみしました。 実は、ライトノベルを書き始めて、いちばんびっくりしたのがそれです。ジュブナイルポルノの編集は言わないセリフなんですよ。 ジュブナイルポルノは、売上げの幅がそんなに大きくないんです。 熱心な少数の読者さんに支えられているジャンルなので、一定数は必ず売れます。でも、大ヒットはない。 私の My妹4刷で、すごく売れた部類に入る。 ライトノベルだと4刷なんて、少しも珍しくないのにね。 ライトノベルは、バクチで大勝ちするように、大ヒットが生まれるときがあります。 ハルヒ累計500万部とか、ゼロの使い魔300万部とか、ジュブナイルポルノでは絶対にありえない。反面、バクチのように、すっからかんになる(ぜんぜん売れず大赤字になる)こともない。 ジュブナイルポルノの編集にとって、出版はバクチではなくビジネスです。 ポルノの編集がビジネスとして出版する上で、いちばん大事なことって何だと思います? エッチな小説を作ること? おもしろい小説を作ること? 私は、「レーベルカラーを統一すること」だと思っています。 ポルノ小説は、一冊だけ発売されても売れません。 でも、このレーベルは、ポルノ小説のレーベルなんだ、ってことが読者さんに認知されると、売上げは安定します。読者さんがレーベル買いをしてくれるからです。 一般小説は作家買いをしますよね。林真理子の小説だから、大沢在昌の小説だから買うのです。 ですが、ポルノは、作家買いではなくレーベル買いです。 そのため、作家個人の知名度や個性といった作家性で売るのではなく、レーベルカラーを統一して、レーベルカラーで売る、という考え方になります。 レーベルカラーの統一に失敗したジュブナイルポルノのレーベルが、商業的に成功を収めることはありえません。ジュブナイルポルノにおいて「なんでもあり」は許されないのです。 このレーベルカラーの統一は、舵取りが難しいです。いろんな版元がジュブナイルポルノに手を出し、二年と続かずに撤退していったのが、カラーの統一がいかに困難であるかを表しています。 おじさま向けポルノは、確立された約束がありますが、ジュブナイルポルノは流動的です。 ジュブナイルポルノは、おじさま向けポルノをそのまま若年向けにしたものではなく、ライトノベルやアニメ、ゲーム、漫画などのサブカルチャーの影響や、社会情勢の変化をダイレクトに受けながら、日々変化していくものだからです。 カラーがあいまいだと、読者さんがつかないのですが、ガチガチにカラーを統一してしまうと、時代の流れや読者さんの好みの変化においていかれ、どんどん売れなくなっていきます。 美少女文庫は、柔軟さには欠けるものの、カラーの統一に成功したレーベルです。 美少女文庫は、担当編集がひとりだけなので、カラーの統一がしやすかったのだと思います。 編プロやフリー編集者や社内編集者の入り乱れる大きなところだと、カラーの統一は困難でしょうね(今は社内にいる正社員の編集者がすべて編集作業をするのではなく、編集プロダクションや外部のフリー編集者に外注に出す場合があります)。 ポルノは、編集者がタイトルと章タイトルをつけます。昔はペンネームも編集者がつけてました。私のわかつきひかるという名前は、当時の担当者がつけたペンネームです。これもカラーの統一の一環です。 美少女文庫は「ポルノの約束とジュブナイルポルノの形式」がカチッとあるレーベルです。作家は約束と形式に従って小説を書くことを要求されます。 作家の「書きたいもの」は、美少女文庫のワクの中でだけ書けます。この約束と形式も、レーベルカラーのひとつです。 でもね、これって、書くほうとしては息苦しいんですよ。 大ヒットがでない構造になっていることは我慢できても、書ける幅が狭いのは息苦しい。 この息苦しさが、ライトノベルを書きはじめたきっかけのひとつでした。 そんな美少女文庫が、新しく出す新シリーズ。 美少女文庫えすかれ。 >敢えて条件や編集制限を設けない、新レーベル ですって。 お嬢様☆お世継ぎ生産計画 山口陽/YUKIRIN 978-4-8296-5879-6 680円 学園ぜ〜んぶ独り占め! 上原りょう/ひよひよ 978-4-8296-5878-9 700円 が、3月17日配本開始だそうです。 どんな感じになるんでしょうね。 とても楽しみです。
最終更新日
2009年03月08日 00時34分36秒
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