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李容洙さん東京地裁で「証言」

芹沢昇雄2009/03/06
15歳の時、日本軍兵士に強制連行され、性奴隷にされたとして、その責任と謝罪を求め米下院でも証言したことがある李容洙(イ・ヨンス)さんが3月4日、国に「日韓会談文書」の全面情報公開を求め、東京地裁で証言した。
韓国 戦争 NA_テーマ2
李容洙さん東京地裁で「証言」 | <center>左2人弁護士、李容洙さん、通訳(「弁護士会館」で)</center>
左2人弁護士、李容洙さん、通訳(「弁護士会館」で)
 15歳の時、日本軍兵士に強制連行され性奴隷にされたとして、その責任と謝罪を求め米下院でも証言したことがある李容洙(イ・ヨンス)さんが4日、東京地裁で証言した。

 この裁判は、国に「日韓会談文書」の全面情報公開を求めているもので、李容洙さんは従軍慰安婦問題でも日本政府は「日韓条約で解決済み」と主張しているが、それならばその情報公開をなぜしないと訴えた。

 韓国では既に05年に「韓日会談文書」を全面公開し、65年当時「従軍慰安婦問題」について合意した経緯はなく、韓国政府は反人道的罪については日本政府に法的責任があるとしている。

 李容洙さんは裁判官に「なぜ韓国で全面公開された文書を、日本政府が最後まで隠そうとするのか、愚かなことを許すのか?」と問いかけた。そして、被害者が生きているうちに、その真実が明らかになるよう願っていますと涙した。

 公判後、弁護士会館で「報告会」が開かれ、李容洙さん自らの思いと、今までの経緯を簡単に述べ、法廷で涙したことを「なぜ被害者の私が日本に来て法廷で訴えなくてはならないのか?、と思うと涙が出てきた。」と話した。そして、被害者が生きているうちに解決して欲しいと切実に訴えた。

 当初、日本に来た時は日本が憎かったが、今はこのように理解ある皆様と出会い、日本に来るたびに情が深くなると感謝の言葉もあった。弁護士からは今後の裁判の行方に関する報告があった。

李容洙さん東京地裁で「証言」 | <center>「傍聴、集会」に参加者した皆さん</center>
「傍聴、集会」に参加者した皆さん
記者私見

 06年の埼玉県議会で上田知事の「古今東西、慰安婦はいても従軍慰安はいなかった」との発言を受け、県平和資料館が年表表記の「従軍慰安婦」を「慰安婦」に書き換えた問題で、李容洙さんは今月1日、同資料館を訪れ抗議し復元を要請して来たばかりである。

 過ちを認め、それを今後の教訓とする義務がこの国にはある。周恩来の『前事不忘 後事之師」(前の事を忘れず、後の教えとする)の言葉、そして、ヴァイツゼッカーの『過去を忘れる者は現在にも盲目となる』との教訓を生かすべきである。被害者の「苦しみ、辛さ、痛さ」を理解してこそ、友好と平和が存在することを忘れてはならない。

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[42053] 日本政府も日本の裁判所も認めた強制連行の事実
名前:菅田一郎
日時:2009/03/06 23:35
 安倍総理大臣が正式に河野談話を受け継ぐと公式に表明した以上、それ以降内閣が発議し、国会で謝罪決議すべきでしょう。これは最早「怠慢」では済まされなくなるかもしれません。

 今回のイ・ヨンスさんの行動は当然の事ですが私も思いつかなかった事でもあります。日本政府の逃げ腰、問題を荒立てない主義は官僚主義に内閣が支配されている現れだと言えるのでは?韓国では日韓条約成立時には従軍慰安婦問題が話し合われなかったと韓国民に対し説明していたという事はよく知られた話しですが、日本では賠償問題は決着済みなどとは明らかな嘘です。


 もし本当なら、韓国の慰安婦達は理屈的には賠償請求は韓国に求めるという事になりますが、これはそうはならないのが、個人の戦争犯罪被害賠償が国家間の賠償問題とは別に存在出来るという韓国政府の立場の方が国際的には支持を受ける物だと私は思っています。


 日本の原子爆弾被害者がアメリカ政府に対し国際法違反の戦争犯罪被害に対し賠償要求出来るのではないかという論議もあります。
 こういう戦争犯罪についての個人に対する賠償責任論を認める事は同時に戦争抑止にも繋がります、将来的には是非国際間に定着して行くべき考えだと思います。


 イ・ヨンスさんの行動は非常に理性的で大きな示唆を与える物ではないでしょうか。今後戦争犯罪被害が受けた個人に対して加害国が償うという原則確立や、戦争犯罪被害者達の連帯した戦いの可能性なども示す物として高く評価したいと思います。


 日本政府はどうするのか、他国や多国民どころか日本国民に対しても恥ずかしいとは思わないんでしょう。
[返信する]
[42038] 逃げ腰の日本政府を世界はどう見るか?
名前:北川洋一
日時:2009/03/06 19:37
国連はもとより、世界の主要な国々から厳しく糾弾され続けている“従軍慰安婦”問題。

河野談話を否定した安倍前首相が、圧倒的な証拠や記録・証言の元に否定しきれなくなり、強制性を認めて世界に向け、謝罪したのに、日本政府は、いまだにあいまいな態度を取り続けています。世界では日本軍の“性奴隷”という言葉が一般的になっているというのに。

BBC NEWS  2007年4月27日
http://news.bbc.co.uk/2/hi/asia-pacific/6598289.stm

一体、日本政府は、いつまでこのような恥ずかしい態度を取り続け日本国民の顔にドロを塗り続けようとするつもりなのでしょうか? 日本政府が動かなければ、いくら国民に謝罪に気持ちがあっても世界は理解してくれません。

このような恥ずかしい政府をもっていることに国民の一人として情けない気持ちで一杯です。
[返信する]
[42024] 日韓両国の問題は「完全かつ最終的に」決着されています
名前:新井秦基
日時:2009/03/06 13:26

>この裁判は、国に「日韓会談文書」の全面情報公開を求めているもので、李容
>洙さんは従軍慰安婦問題でも日本政府は「日韓条約で解決済み」と主張してい
>るが、それならばその情報公開をなぜしないと訴えた。

>韓国では既に05年に「韓日会談文書」を全面公開し、65年当時「従軍慰安
>婦問題」について合意した経緯はなく、韓国政府は反人道的罪については日本
>政府に法的責任があるとしている。

>李容洙さんは裁判官に「なぜ韓国で全面公開された文書を、日本政府が最後ま
>で隠そうとするのか、愚かなことを許すのか?」と問いかけた。そして、被害者
>が生きているうちに、その真実が明らかになるよう願っていますと涙した。




これ、韓国政府がずーっと隠してきたんですよ。
韓国政府の立場は「日本政府が個人補償を拒否した」という立場でしたから。
しかし、実態は「日本が個人補償を提案したのに、韓国政府が一括受け取りの立
場を崩さなかった」というもので、韓国内ではちょっとした騒ぎになりました。
ところが、ここにきて「日本政府の責任だ」と責任転嫁しはじめております。
いつものパターンですね。


なお、日韓基本条約には、日韓両国の問題は「完全かつ最終的に解決された」と
の一文があります。「完全かつ最終的に」ですからね。完全ですから例外などあ
りませんし、最終的ですから再要求は許されません。



ところで、芹沢さん。
あなたは前回「強制連行は問題じゃない」と発言していたのに、今回の記事では
強制連行が問題になっています。逃亡していないで、真摯に返答すべきではない
ですか。
[返信する]

2月26日〜3月4日 

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