左2人弁護士、李容洙さん、通訳(「弁護士会館」で)
15歳の時、日本軍兵士に強制連行され性奴隷にされたとして、その責任と謝罪を求め米下院でも証言したことがある李容洙(イ・ヨンス)さんが4日、東京地裁で証言した。
この裁判は、国に「日韓会談文書」の全面情報公開を求めているもので、李容洙さんは従軍慰安婦問題でも日本政府は「日韓条約で解決済み」と主張しているが、それならばその情報公開をなぜしないと訴えた。
韓国では既に05年に「韓日会談文書」を全面公開し、65年当時「従軍慰安婦問題」について合意した経緯はなく、韓国政府は反人道的罪については日本政府に法的責任があるとしている。
李容洙さんは裁判官に「なぜ韓国で全面公開された文書を、日本政府が最後まで隠そうとするのか、愚かなことを許すのか?」と問いかけた。そして、被害者が生きているうちに、その真実が明らかになるよう願っていますと涙した。
公判後、弁護士会館で「報告会」が開かれ、李容洙さん自らの思いと、今までの経緯を簡単に述べ、法廷で涙したことを「なぜ被害者の私が日本に来て法廷で訴えなくてはならないのか?、と思うと涙が出てきた。」と話した。そして、被害者が生きているうちに解決して欲しいと切実に訴えた。
当初、日本に来た時は日本が憎かったが、今はこのように理解ある皆様と出会い、日本に来るたびに情が深くなると感謝の言葉もあった。弁護士からは今後の裁判の行方に関する報告があった。
「傍聴、集会」に参加者した皆さん
記者私見
06年の埼玉県議会で上田知事の「古今東西、慰安婦はいても従軍慰安はいなかった」との発言を受け、県平和資料館が年表表記の「従軍慰安婦」を「慰安婦」に書き換えた問題で、李容洙さんは今月1日、同資料館を訪れ抗議し復元を要請して来たばかりである。
過ちを認め、それを今後の教訓とする義務がこの国にはある。周恩来の『前事不忘 後事之師」(前の事を忘れず、後の教えとする)の言葉、そして、ヴァイツゼッカーの『過去を忘れる者は現在にも盲目となる』との教訓を生かすべきである。被害者の「苦しみ、辛さ、痛さ」を理解してこそ、友好と平和が存在することを忘れてはならない。