企業・団体献金
企業、労働組合、財界、業界団体、宗教団体などの各種団体が政治活動に関して政党や政治家に提供する政治資金を企業・団体献金といい、団体には政治団体を除くすべての団体が含まれる。度重なる構造的腐敗、特にリクルート事件を契機に、改正政治資金規正法が95年1月から施行され、腐敗の根幹原因とされる企業や業界団体から政治家個人への献金を禁止(5年間の猶予期間を設定)する代わりに、税金を政党に投入する政党交付金(助成金)制度を(政党助成法)設けることになった。
同法の施行により、政治家が企業・団体献金を受けられるのは個々の政治家が指定する1つだけの資金管理団体に限られ、献金額も年間150万円以内から年間50万円以内に制限された。しかし、99年9月の官報で公表された98年分の政治資金収支報告書(自治大臣所管の中央分)では総額約153億円に上っている。
政治資金規正法附則9条で「施行後5年を経過した場合に禁止措置を講じる」(また附則10条は、政党や政党の政治資金団体への企業・団体献金も見なおすことが決められている)と規定された時期は、2000年1月があるが、自民党は99年10月、「個人献金に期待できない」などとの理由で存続を決めたが、世論の猛反発を受け、11月6日、自民党森幹事長は「禁止」への方針転換を表明した。だが、政治家個人への献金が禁止されても、政党支部や政党の政治資金団体を通して企業・団体献金を受けられる抜け穴や、パーティー・勉強会等を媒介しての資金集め(事実上の献金)が可能であり、その対策が焦点になっている。
特に自民党の場合、党の小選挙区支部長を衆院議員が兼ねており、政党支部に対する企業献金も、事実上、政治家個人への献金の受け皿として使われている。そのため政治家個人への資金管理団体への献金と合わせると、同党の国会議員は二つの「財布」を持つことになる。しかも政党支部は、資金管理団体と違って、いくつも設立できる。政治家個人の資金管理団体への企業・団体献金が禁止されても、政党支部を増やしていくことによって、そこに企業献金の受け皿が生まれることも考えられる。
共産党や社民党が主張しているように、企業・団体献金を全面的に禁止しなければ、企業・団体との癒着(腐敗)体質(構造的汚職体質)を断ち切ることはできない。
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政党助成金の交付⇒年間に国民1人当たり250円の負担で、総額300億円以上を 各政党に交付する。総額の半分は国会議員数に応じて、残り半分は前回総選挙と前回・
前々回参院選の得票率に応じて配分する。
交付対象は(1)国会議員5人以上の政党(2)国会議員が1人でもいて▽前回衆院選の小選挙区▽同比例代表▽前回か前々回の参院選比例代表▽同選挙区――のどれかで 全国を通じた得票率が2%以上の政党。
共産党と二院クラブはこの受け取り拒否をしている。拒否した分は、他の政党に振り分けられる⇒政党交付金(助成金)制度⇒政党助成法
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政治資金規正法は、政治資金の透明化を目的に、1948(昭和23)年に成立したが、政治家の汚職事件が起こる度に法の強化が叫ばれ、現在までに6回改正された。しかし、現行の規正法は、政治資金(カネ)の流れの透明化を図るという本来の趣旨から縁遠いザル法だという指摘が根強く、本来の効力を発揮するためには、収支の出入りを厳しく監視できるよう改正する必要があるとされている。
第1条(目的)
この法律は、議会制民主政治の下における政党その他の政治団体の機能の重要性及び公職の候補者の責務の重要性にかんがみ、政治団体及び公職の候補者により行われる政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにするため、政治団体の届出、政治団体に係る政治資金の収支の公開並びに政治団体及び公職の候補者に係る政治資金の授受の規正その他の措置を講ずることにより、政治活動の公明と公正を確保し、もって民主政治の健全な発達に寄与することを目的とする。
第2条(基本理念)
@ この法律は、政治資金が民主政治の健全な発達を希求して拠出される国民の浄財であることにかんがみ、その収支の状況を明らかにすることを旨とし、これに対する判断は国民にゆだね、いやしくも政治資金の拠出に関する国民の自発的意思を抑制することのないように、適切に運用されなければならない。
A 政治団体は、その責任を自覚し、その政治資金の収受に当たっては、いやしくも国民の疑惑を招くことのないように、この法律に基づいて公明正大に行わなければならない。
@ 政治団体の会計責任者(報告書の記載に係る部分に限り、会計責任者の職務を補佐する者を含む。)は、毎年12月31日現在で、当該政治団体に係るその年における収入、支出その他の事項で次に掲げるもの(これらの事項がないときは、その旨)を記載した報告書を、その日の翌日から3月以内(その間に衆議院議員の総選挙又は参議院議員の通常選挙の公示の日から選挙の期日までの期間がかかる場合には、4月以内)に、第6条第1項各号の区分に応じ当該各号に掲げる都道府県の選挙管理委員会又は自治大臣に提出しなければならない。
1 すべての収入について、その総額及び自治省令で定める項目別の金額並びに次に掲げる事項
イ 個人が負担する党費又は会費については、その金額及びこれを納入した者の数
ロ 同一の者からの寄附で、その金額の合計額が年間5万円を超えるものについては、その寄附をした者の氏名、住所及び職業並びに当該寄附の金額及び年月日
ハ 同一の者によって寄附のあっせんをされた寄附で、その金額の合計額が年間5万円を超えるものについては、その寄附のあっせんをした者の氏名、住所及び職業並びに当該寄附のあっせんに係る寄附の金額、これを集めた期間及びこれが当該政治団体に提供された年月日
ニ 第22条の6第2項に規定する寄附については、同一の日に同一の場所で受けた寄附ごとに、その金額の合計額並びに当該年月日及び場所
ホ 機関紙誌の発行その他の事業による収入については、その事業の種類及び当該種類ごとの金額
ヘ 機関紙誌の発行その他の事業による収入のうち、特定パーティー(政治資金パーティーのうち、当該政治資金パーティーの対価に係る収入の金額が1,000万円以上であるものをいう。以下この条及び第18条の2において同じ。)又は特定パーティーになると見込まれる政治資金パーティーの対価に係る収入がある場合においては、これらのパーティーごとに、その名称、開催年月日、開催場所及び対価に係る収入の金額並びに対価の支払をした者の数
ト 一の政治資金パーティーの対価に係る収入(報告書に記載すべき収入があつた年の前年以前における収入を含む。)のうち、同一の者からの政治資金パーティーの対価の支払で、その金額の合計額が20万円を超えるものについては、その年における対価の支払について、当該対価の支払をした者の氏名、住所及び職業並びに当該対価の支払に係る収入の金額及び年月日
チ 一の政治資金パーティーの対価に係る収入(報告書に記載すべき収入があつた年の前年以前における収入を含む。)のうち、同一の者によって対価の支払のあっせんをされたもので、その金額の合計額が20万円を超えるものについては、その年における対価の支払のあっせんについて、当該対価の支払のあっせんをした者の氏名、住所及び職業並びに当該対価の支払のあっせんに係る収入の金額、これを集めた期間及びこれが当該政治団体に提供された年月日
リ 借入金については、借入先及び当該借入先ごとの金額
ヌ その他の収入(寄附並びにイ、ホ及びリの収入以外の収入で1件当たりの金額(数回にわたってされたときは、その合計金額)が10万円以上のものに限る。)については、その基因となった事実並びにその金額及び年月日
2 すべての支出について、その総額及び自治省令で定める項目別の金額並びに人件費、光熱水費その他の自治省令で定める経費以外の経費の支出(1件当たりの金額(数回にわたってされたときは、その合計金額)が5万円以上のものに限る。)について、その支出を受けた者の氏名及び住所並びに当該支出の目的、金額及び年月日
3 12月31日において有する資産等(次に掲げる資産及び借入金をいう。以下この号及び第17条第1項において同じ。)について、当該資産等の区分に応じ、次に掲げる事項
イ 土地 所在及び面積並びに取得の価額及び年月日
ロ 建物 所在及び床面積並びに取得の価額及び年月日
ハ 建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権 当該権利に係る土地の所在及び面積並びに当該権利の取得の価額及び年月日
ニ 取得の価額が百万円を超える動産 品目及び数量並びに取得の価額及び年月日
ホ 預金若しくは貯金又は郵便貯金 預金若しくは貯金又は郵便貯金の残高
ヘ 金銭信託 信託している金銭の額及び信託の設定年月日
ト 証券取引法(昭和23年法律第25号)第2条第1項及び第2項に規定する有価証券 種類、銘柄及び数量並びに取得の価額及び年月日
チ 出資による権利 出資先並びに当該出資先ごとの金額及び年月日
リ 貸付先ごとの残高が100万円を超える貸付金 貸付先及び貸付残高
ヌ 支払われた金額が100万円を超える敷金 支払先並びに当該支払われた敷金の金額及び年月日
ル 取得の価額が100万円を超える施設の利用に関する権利 種類及び対象となる施設の名称並びに取得の価額及び年月日
ヲ 借入先ごとの残高が100万円を超える借入金 借入先及び借入残高
A 政治団体の会計責任者は、前項の報告書を提出するときは、同項第2号に規定する経費の支出について、自治省令で定めるところにより、領収書等の写し(領収書等を徴し難い事情があつたときは、その旨並びに当該支出の目的、金額及び年月日を記載した書面)を併せて提出しなければならない。
B 政治団体の会計責任者(会計責任者の職務を補佐する者を含む。第19条の4及び第19条の5において同じ。)は、第1項第1号へからチまでの特定パーティー又は政治資金パーティーの対価に係る収入のうち、同項の規定により報告書に記載すべき収入があった年の前年以前において収受されたものがある場合において、当該特定パーティー又は政治資金パーティーに係る事項について同項の規定により報告書を提出するときは、当該報告書に記載すべき収入があつた年の前年以前において収受されたものについて同号ヘからチまでに掲げる事項を併せて記載しなければならない。
C 第1項の報告書の様式及び記載要領は、自治省令で定める。
第13条
前条第1項の規定は、政治団体の会計責任者が同項の規定により報告すべき寄附以外の寄附について、同項の規定による報告書に同項の規定により報告すべき寄附に準じて記載することを妨げるものではない。政治資金パーティーの対価に係る収入についても、同様とする。
第6章 罰則
第23条
政治団体が第8条の規定に違反して寄附を受け又は支出をしたときは、当該政治団体の役職員又は構成員として当該違反行為をした者は、5年以下の禁錮又は100万円以下の罰金に処する。
第24条
次の各号の一に該当する者(会社、政治団体その他の団体(以下この章において「団体」という。)にあっては、その役職員又は構成員として当該違反行為をした者)は、3年以下の禁錮又は50万円以下の罰金に処する。
1 第9条の規定に違反して会計帳簿を備えず、又は同条、第18条第2項若しくは第19条の4の規定に違反して第9条第1項の会計帳簿に記載すべき事項の記載をせず、若しくはこれに虚偽の記入をした者
2 第10条の規定に違反して明細書の提出をせず、又はこれに記載すべき事項の記載をせず、若しくはこれに虚偽の記入をした者
3 第11条の規定に違反して領収書等を徴せず、若しくはこれを送付せず、又はこれに虚偽の記入をした者
4 第16条の規定に違反して会計帳簿、明細書又は領収書等を保存しない者
5 第16条の規定により保存すべき会計帳簿、明細書又は領収書等に虚偽の記入をした者
6 第15条の規定による引継ぎをしない者
7 第31条の規定により求められた説明を拒み、若しくは虚偽の説明をし、又は同条の規定による命令に違反して同条の報告書等の訂正を拒み、若しくはこれらに虚偽の訂正をした者
第25条
@ 次の各号の一に該当する者は、5年以下の禁錮又は100万円以下の罰金に処する。
1 第12条又は第17条の規定に違反して報告書又はこれに併せて提出すべき書面の提出をしなかった者
2 第12条、第17条、第18条第3項又は第19条の5の規定に違反して第12条第1項若しくは第17条第1項の報告書又はこれに併せて提出すべき書面に記載すべき事項の記載をしなかった者
3 第12条第1項若しくは第17条第1項の報告書又はこれに併せて提出すべき書面に虚偽の記入をした者
A 前項の場合(第17条の規定に係る違反の場合を除く。)において、政治団体の代表者が当該政治団体の会計責任者の選任及び監督について相当の注意を怠つたときは、50万円以下の罰金に処する。
政治資金規正法附則
会社、労働組合その他の団体の資金管理団体に対してする寄附については、この法律の施行後5年を経過した場合において、これを禁止する措置を講ずるものとする。
第10条(見直し)
この法律の施行後5年を経過した場合においては、政治資金の個人による拠出の状祝を踏まえ、政党財政の状況等を勘案し、会社、労働組合その他の団体の政党及ぴ政治資金団体に対してする寄附のあり方について見直しを行うものとする。
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