雇用の安全網の外にいる労働者たちを救済するため政府は新基金を創設して生活費を支給し再就職を支援するという。大量失業時代にマッチした政策だ。支給対象者はできるだけ広げてもらいたい。
正規・非正規を問わず日本の労働者は厳しい働き方と不安定な雇用身分に置かれている。失業すればただちに暮らしが立ちゆかなくなる光景が日常的になった。昨年来の「派遣村」は象徴的な事例である。
非正規切り急増を受けて政府は相次いで雇用対策を打ち出した。住宅・生活資金の貸し付けや雇用調整助成金の拡充、地方での雇用創出での基金設立などが柱だ。
また今国会で雇用保険法改正案を成立させ非正規労働者への雇用保険適用を広げることになった。その方向は結構だが、適用を受けていない約一千万人のうち新規対象は約百五十万人にとどまる。
失業者を放置すれば生活保護に頼らざるを得なくなる。生活保護は最後の安全網だが、受給者は昨年十二月には百六十万七千人と一年間で五万三千人も増えた。
日本経団連と連合との申し入れを受け、政府は月内に緊急雇用対策をまとめることになった。
日本版ワークシェアリングの一つと位置付ける雇用調整助成金について、支給上限日数の拡大や休業手当に対する助成率を引き上げる。また失業給付が切れた人や廃業した自営業者、雇用保険に加入していない人を対象とする新基金の創設などが検討されている。
新基金は公的職業訓練を受けることを条件に月額十万円を支給する。生活費を得ながら職訓を受けられるからこの施策は効果が期待できよう。雇用保険と生活保護の間を埋める安全網といえる。
実施するなら外国人のほか、このところ目に余る“産休・育休切り”で解雇された女性や障害者、高齢者も含めてもらいたい。
さらに失業対策と就業支援を抜本的に進めるならばイギリスやドイツ、フランスで導入されている失業扶助制度を検討すべきだ。
同制度は全額国庫負担で給付期間は原則無期限と手厚い。ずっと失業者のままで失業率高止まりの危険性を指摘する声もあるが、それなら職業訓練を義務付けたり期間を限定するなど工夫をすればいい。
政府は労働・雇用政策を労働者保護の原点に戻し、企業は雇用維持に全力を挙げ、労働組合は正社員と非正規との待遇格差を是正していくことが大事である。
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