・映画『スラムドッグ＄ミリオネア』については、
　いずれまた、もうちょっと書くと思いますが、
　まずは観たという報告と、
　ほんとに感心したということをお伝えしておきます。
　ほんとにすごいと思うのは、なによりも、
　実によくできた「大衆娯楽」になっていることです。
　この題材で、この設定で、このキャスティングで、
　しっかりと「みんながおもしろがる映画」として、
　成立させているんです。
　
　どうしても、この映画の紹介というと、
　暗さや生々しさみたいなところに
　目を向けさせてしまいそうですが、
　実に緻密にできている「設計図」のおかげで、
　べとつかない、切れがいいんですよね。
　泥やら血やら暴力やらが表現されていながら、
　これ、「おとぎばなし」としてつくられているんです。
　
　アカデミー賞で、対抗馬のブラッド・ピットが、
　事前にじぶんたちの受賞をあきらめていたらしい、
　というような報道を読んだおぼえがあるのですが、
　そりゃぁそうだろう、と、よくわかりました。
　ブラピの候補作も、おもしろかったけれど、
　『スラムドッグ＄ミリオネア』とは戦わないほうがいい。
　機械で言えばさ、部品一個一個のねじの締め方が、
　ぜんぜんちがうという印象です。
　ぼくには、そう感じられました。
　
　で、ついでみたいに言わせてもらえるなら、
　『おくりびと』は、『スラムドッグ』に、
　負けちゃいないという気もしましたよ。

・それはそうと、なのですが、
　『クイズ・ミリオネア』という世界的なクイズ番組。
　このプランニングにも、拍手するしかないですね。
　あけすけで、おおげさで、もったいぶった演出。
　過剰なごほうびと、世界のどこでも通じる仕組み。
　この番組の「キャラ」がなかったら、
　『スラムドッグ＄ミリオネア』も、できなかったもの。

土曜です。今日も「ほぼ日」に、ようこそ〜っ。