2009年03月06日
Der Zibet、ISSAYによる『PRIMITIVE』全曲インタビュー【1/3】
お待たせしました。
本日から3日間、3回に渡って、ISSAY氏によるニュー・アルバム『PRIMITIVE』全曲解説インタビューをお届けします。
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本日3月6日にリリースされる通算13枚目のアルバム『PRIMITIVE』は”Der Zibet健在”を示すには十分すぎるくらい濃厚な作品である。
しかし、だからといって"13年前のまんま"ということではない。
本作を制作する際、メンバーは21世紀であることを意識し、新しい表現方法を模索した。
数々のレコーディング・ミラクル、メンバー同士がぶつかって起こった化学反応…偶然が重なって出来上がった『PRIMITIVE』は、活動を止めていた13年という時間が無意味でなかったことの証でもあるのだ。
一度封印したDer Zibetの活動、その再スタートを華々しく飾る本作について、1曲ずつ丁寧にISSAYに話を訊いた。
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M1「震える月のケミカルビート」
ーーまずCDをプレイヤーに入れてSTARTキーを押した瞬間、流れてくるこの曲を聴いて、”Der Zibet健在!”って皆さん、思うんじゃないでしょうか?
ISSAY:確かに、この曲が出来たことでバンドのモチベーションも上がったし、今回のアルバムのイメージ、”PRIMITIVE”の世界観がスゴく膨らんだっていうのはありますね。これはね、Hikaruが最初のリフを持ってきたんですよ、”エキゾチックなリフの曲がほしいな”って話をしていたら。で、バンドでセッションして、いきなり上手くできちゃいました、みたいな。この曲が出来た日のリハは今でも覚えているけど、スゴい実りの多い日で。セッションしながら1日で5曲作ったのかな。
ーースゴい勢いですね!
ISSAY:まぁ、元ネタがある曲もあったんだけど。特に、この曲の形がある程度見えた時、アルバムのレコーディングはスムーズに行くだろうなって確信したし、”これはもうアルバムの1曲目だね”って全員一致で決まったのね。
ーーそれくらい本作にとって重要な1曲。
ISSAY:うん、キーになる曲。
ーー歌詞は、近未来の廃墟の中で少年少女達が活き活きと踊ってるイメージ。こういうタッチの歌詞は以前からありますが。
ISSAY:そう、昔からDer Zibetの歌詞にある、廃墟の中でも元気な少年少女達を描いてますね。2ndアルバム『Electric Moon』に入ってる「Electric Moon」とか、もろ、そういう世界観なんだけど、本作でも21世紀型のそういうものができないかな?と思って。
ーーそのシチュエーションって何かISSAYさんの強烈な体験と結びついてるんですか?
ISSAY:昔、新宿の辺りに住んでいたことがあって。駅からとぼとぼと歩きながら目に飛び込んでくる高層ビル街の景色が廃墟に見えたのね、僕の頭の中では。<もしかして、この高層ビル街って未来のピラミッドなのかな? ここも未来の廃墟になるんだろうな…>って思いながら、いつも見ていて。そのイメージが今でも抜けないっていう。
ーーそんな廃墟の中でも若者は元気だぞ、と。生命力が溢れてますよね、サウンドも相まって。
ISSAY:そういうボロボロのところでもガキどもは元気だぞ! タフだぞ!と。それが今までの作品について回っていたし、今回のテーマの根底にもありましたね。やっぱり、そこが人間の”PRIMITIVE”なところだと思うから。
M2「PRAYER」
ーー5/8拍子、6/8拍子の繰り返しで構成されるのが面白いです。5/8の部分は煽られて逃げてるようなスリリングさがあって、6/8でフワッと…。
ISSAY:世界が広がるでしょ?
ーーそうそう。
ISSAY:だけど、なんだか知らないけどイントロは8/8(笑)。最初、Mayumiが口ずさんだ面白いリフを元に、みんなでセッションしてたんだだけど、なかなか曲にならなくて。そのリフをHikaruが家へ持って帰っていじくっていたら、”気付いたら5/8のリズムになっちゃったんだけど”って言って形にして持ってきたっていう(笑)。結局、Mayumiが作ったリフはイントロの部分にだけ残って、その後はHikaruが作った5/8になって。ほら、よく変拍子のための変拍子ってあるじゃない?
ーーありますね。
ISSAY:僕、そういうの、あんまり好きじゃなくて。なんだけど、デモテープを聴いたら、ものすごく必然的な変拍子だったから、これはいい!と思って。で、作ってみたら、思いの外パワフルで、変拍子の嵐のくせにポップになったっていう。今のDer Zibetを象徴してる曲になった気がして。どこか曲がってマニアックな部分っていうのは残しておきたいバンドなので、それが一番ポップに出た曲なんじゃないかな。
ーーあと特筆すべきは間奏の長さ(笑)。
ISSAY:異常に長いよね(笑)。これ、何も決めずにやったの。とにかく、ガッと盛り上げてスコンと落として、また盛り上げてBメロに戻ろう、ってことしか決めてなくて。小節数なんか何も決めてなくてやったら、あんなに長くなっちゃった(笑)。歌詞は最初、単純にオーディエンスやリスナーに対してのラヴソングを作ろうと思ったんだけど、書き直しているうちに、もうちょっと広い世界観になりました。
ーー歌詞は♪この狂った世界の中で あなたと生きたい♪という力強い祈り(PRAY)ですよね。でも…お会いするとISSAYさんご自身は、生きる!って力強いイメージの方じゃないというか…(笑)。
ISSAY:ま、生命力なさそうですからね(笑)。
ーーすみません、繊細な雰囲気で、あまり頑丈な感じがないものですから(汗)。
ISSAY:でもね、”生きる”という願いは強いですからね、人はみんな。
M3「PRIMITIVE STAR」
ーーこのシャッフルのノリ、正にグラム・ロックだ!と思ったんですが。
ISSAY:僕、結局、なんだかんだ言って、お里がグラム・ロックだから(笑)。お里がグラム・ロック、ゴス経由、やっぱロック好き、みたいな人だから(笑)。
ーー寄り道しても、お里が恋しい(笑)。
ISSAY:お里が恋しい、なんだかんだ言って戻っちゃう(笑)。シャッフルの曲、アルバム中1曲はやりたいなって話をしていて。最初、Hikaruは乗り気じゃなかったんだけど、家で作ったら気に入ったシャッフルの曲が出来たから、ぜひやりましょうってことになって。
ーー曲タイトルは、どう解釈したらいいんでしょう?
ISSAY:原始的というか根源的なスター…あるがままのロック・スターっているじゃないですか?
ーー作られたスターではなく、生まれながらのスター、みたいな。
ISSAY:そういうイメージ。最近、そういう存在が少ないなと思って。やっぱり、僕はそういうスターが好きで音楽始めたわけだから、そういう人に対して歌いたいし、僕もそうなりたいし。
ーー”Glitter STAR”に。
ISSAY:そうですね。
ーーISSAYさんの出で立ち、声…存在そのものが今のままで十分、”Glitter STAR”だと思いますよ。
ISSAY:そうですかね?(笑)
ーーええ、間違いなく。そんなきらびやかな曲の中で”しみったれた”という言葉が用いられてるの、笑ってしまいました(笑)。
ISSAY:そこね、自分で詞を書いていて笑っちゃったもん(笑)。
M4「VANESSAの情動」
ーー”VANESSA”…って女性の名前ですか?
ISSAY:ですね。曲を聴いた時、なぜか”VANESSA”って言葉が出てきたのね。で、VANESSAとは誰だろう?と自分の中で考えたら、ある風景が思い出されて。20年くらい前、都内の某ラブホテル街にあるパントマイムのスタジオによく通っていたんだけど、当時、あの辺りにはラテン系のパッツンパッツンの格好したお姉ちゃんがワーッと立って客引きをしてたの。あの人達の生命力を目の当たりにした時に、スゴいな〜と思って。大好きだったの、スゴく安っぽい香水を臭いくらいにいっぱい付けてる、あのお姉ちゃん達が(笑)。
ーー……えっ!?
ISSAY:あ、そういう意味じゃなくて(笑)。だって、カッコいいんだもん、あの女性達<ひとたち>。あのメチャクチャ元気いい感じがね。
ーー力強く明るく、体を張って生きていく女性の生き様、このジャングル・ビートからも感じられますよ。
ISSAY:ちょっとボ・ディドリーなのか? ジャングルなのか? っていうあのビートは面白かった。スゴく新しかったし。で、あの人達のことを歌おうと思って書いた歌詞をHikaruにメールで送ったら”もっと音として面白くしたい”って言って直してきたのね。でも僕としては”娼婦の歌だから、こういうフレーズは絶対入れたいんだ”と譲れない部分は主張して。交換日記のようなやりとりをしながら作ったっていう。レコーディングで初めてコレを歌った時、ベースのHALにも訊かれましたね、”VANESSAって誰?”って。で、僕はまた”あのね、あそこの街にね…”って説明をして。思い出していたらVANESSAに会いたいな…なんて懐かしくなったり(笑)。
ーーVANESSAって名前じゃないかもしれないけど(笑)。
ISSAY:きっと違うだろうけど(笑)。
<Interview:Kimico Masubuchi>
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♪本インタビューの第2回目は、明日、3:33〜、本ブログにてアップいたします。
【http://derzibet.com/】
kimico_m at 03:33
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