
今年度の損益が黒字となる見通しになったまちバス=金沢市内
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JR金沢駅と金沢市内中心商店街を結ぶ「まちバス」の今年度の損益が、黒字になるこ
とが六日までに確定した。運賃を百円に設定し、当初は採算確保は難しいとみて、市と商
店街が分担して損失補填(ほてん)することを決めていたが、取りやめる。北陸鉄道が同
様のルートで百円バスを運行した七月以降も利用は堅調に推移しており、最終的に運賃百
円でも十分にもうけが出ることになった。
まちバスは金沢商業活性化センター(TMO)が運行主体となり、西日本ジェイアール
バスに運行委託して昨年四月五日から土日祝日に運行されている。
TMOによると、今月一日時点の乗客数は二十二万三千人となり、同二十九日までの今
年度の運行で二十三万人を突破することが確実となった。当初の見通しでは乗客数を十五
万人としており、千五百万円と見込んでいた運賃収入も二千三百万円程度になる。広告協
賛金も収入増に貢献した。
支出は運行経費や広告事業、イベント情報を盛り込んだ「まちバスノート」発行といっ
た企画費などで、新年度の運行準備経費などを差し引いても百―二百万円の黒字を確保す
る。今年度の黒字分については、新年度のまちバス運行に充当するという。
当初の計画では、市と商店街で七百五十万円の損失補填を想定していた。市は今年度三
月補正予算案で、市の補填分五百万円を減額している。
今月一日時点では、一便当たりの平均乗客数は六二・〇九人で、無料運行された昨年度
の六二・〇人とほぼ同水準となっている。今年度から運行時間を夜間にも延長しており、
「夜間の利用は比較的少なく、昼間の利用だけでは昨年度を上回っている」(TMO)と
いう。
四―六月の一日当たりの乗客数は二千二百―二千三百人台で推移し、北鉄が市中心部で
運賃百円の「兼六園シャトル」運行を開始した七月以降も千八百―二千二百人台と大幅に
落ち込まなかった。
北鉄の場合、通常の路線バスが市中心部を運賃二百円で運行しており、百円バス運行が
かえって収益低下につながる可能性もあるが、TMOは「バスから遠ざかっていた市民ら
の足を再びバスに向け、中心部のにぎわい創出にもつながった」としている。