
事業を停止したヤマチクのG−1店=6日午前9時50分、金沢市横川4丁目
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CD、オーディオ、DVDなど販売のヤマチク(金沢市横川四丁目、八日市屋典之社長
)は六日、事業を停止し、弁護士に事後処理を一任した。音楽ソフト卸の山蓄音配(同)
も事業を停止しており、代理人弁護士によると、負債額は二社で約十一億円。会社側は任
意整理で負債を処理する方針で、今後、金融機関など債権者と調整する。
代理人弁護士によると、従業員約二十人は五日付で全員解雇されたという。
東京商工リサーチ金沢支店によると、一九九六年三月期のヤマチク単体の売上高は約十
四億四千万円で、直近の二〇〇八年三月期には売上高が約八億五千六百万円に減少、四千
四百万円の最終赤字を計上した。帝国データバンク金沢支店によると、インターネットで
の音楽配信などで店頭販売の環境が悪化したことに加え、多額の有利子負債もあり、債務
超過に陥っていたらしい。
六日午前、同市横川四丁目のG−1店にクラシックCDを見に来たという金沢市内の無
職男性(64)は「品ぞろえも豊富で、よく利用していたので驚いた。金沢の音楽文化が
廃れてしまう」と残念がった。
ヤマチクのホームページによると、同社は一九一四(大正三)年に山田屋蓄音器専門店
として発足した。一九五五(昭和三十)年には他社に先駆けてレコード卸売部門を設置。
オーケストラアンサンブル金沢のデビューCDを手掛けたり、石川、富山などで多店舗展
開するなど、地域の音楽文化発展に貢献した。