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済生会の2病院、生活困窮と偽り職員家族らの医療費減免(1/2ページ)

2009年3月6日

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写真大阪府済生会中津病院=5日、大阪市北区芝田2丁目図

 大阪府済生会中津病院(大阪市北区)と同会野江病院(同市城東区)が07年度、生活保護受給者や低所得者向けの「無料低額診療制度」を悪用し、診療を受けた病院職員の家族や退職者を生活困窮者と偽り、延べ4万5千人分の医療費を減免していたことが分かった。国の省令で医療費は自由に減免することはできないが、両病院は「福利厚生」と称して数千万円規模にのぼる医療費を減免していた。大阪市は今年2月、社会福祉法に違反するとして、両病院に改善するよう指導した。厚生労働省は「極めて悪質」としている。(島脇健史)

 大阪市と大阪府は昨年、府内で制度を利用できる府済生会8病院を含む25病院を調査した。その結果、中津病院では07年度、生活困窮者として医療費を減免した患者延べ6万3千人のうち3万3千人、野江病院では延べ4万2千人のうち、1万2千人が医師や看護師、事務員らの家族と退職者(現職員を除く)だった。

 同制度の指定病院の認可を受けるには全患者数のうち、生活保護受給者などの利用率が10%以上であることが条件。だが、両病院の利用率は実際には5.1%、7.5%だったにもかかわらず、10%余りと市に報告していた。

 医療費は一般の患者の場合、通常3割の自己負担が必要だが、両病院では職員の家族と退職者からは、自己負担分を請求しなかったり、1〜2割程度しか徴収しなかったりしていた。自己負担分との差額は両病院がそれぞれ肩代わりしていた。保険が適用される医療費の残り7割については、一般患者と同じく正規の診療報酬を得ていた。

 厚生労働省社会・援護局の担当者は「こうした違法行為は全国的に聞いたことがない。病院側に金銭的メリットはないが、利用率を上げて認可条件をクリアする狙いもあったのではないか」と指摘する。

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