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肝炎治療助成:申請数伸びず、想定の3割 厚労省と患者側、対立

 ◇厚労省「深刻さ理解不十分」/患者側「さらに負担軽減を」

 今年度から始まったB、C型肝炎患者への治療費助成が進まない原因を巡り、厚生労働省と患者団体が対立している。半年間の申請数は年間想定の3割にも届かず、厚労省は「肝炎の深刻さを十分理解していない患者がいる」と分析。薬害肝炎被害者らは「責任のなすり付けだ」と反発し、近く患者の実態調査をして国に有効な対策を求める構えだ。【清水健二】

 肝炎のインターフェロン治療は通常月約7万円かかるが、助成制度を使えば自己負担が1万~5万円で済む。厚労省は「7年間で治療待ち患者ゼロ」の目標を掲げ、年約10万人が治療を始めると見込んで今年度129億円の予算を計上した。

 しかし昨年4~9月の申請は2万9593人。6月の6702人をピークに下がり続け、9月は最少の3171人だった。このペースだと今までと同じ5万人程度にとどまり、助成制度の意味が失われかねない。

 厚労省は2月末、半年間の実績発表に合わせ、厚労省研究班による患者アンケートの結果を公表。医師のインターフェロン治療の勧めを断った理由は「お金がかかる」より「多忙」「副作用の心配」が多かった点を挙げ、患者本人の判断の問題だとの見方を示した。

 これに対し、日本肝臓病患者団体協議会役員の村田充さんは「感染しているのに気付いていない人が大勢いる。検査体制を整えるなど国はもっと責任を果たすべきだ」と反発。薬害肝炎訴訟原告団代表の山口美智子さんは「目標の人数に届くよう、患者負担をさらに軽くする対応を取ってほしい」と訴える。

 肝炎治療が専門の泉並木・武蔵野赤十字病院副院長は「助成があっても、不況下で治療のために仕事は休めないというケースは多いのではないか。治療を受けやすくするために行政は拠点病院の整備を急ぐべきだ」と話す。

毎日新聞 2009年3月6日 東京夕刊

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