もう少し、カズの話題を。
ブラジルのサッカー選手を夢見る孤児たちを育てる団体に、カズが、サッカーボールを送ったことがあった。それも、200個ものボールを。 子供たちは、とても喜んだ。しばらくして、やはりJリーグが同団体にボールを寄付することになった。エージェントが現地へ赴き、少年たちにボールを渡す。
少年たちはやはり喜んだが、渡されたスポルディングのボールを見て
「スポルディングではなくて、メーカーは『カズ』が良かった。」
「『カズ』のボールはとても使いやすかった」
と口々に言う。Jリーグのエージェントは首をひねった。カズ?そんなメーカーがあっただろうか。
「これだ」と、手渡されたボロボロのボールを見てエージェントは驚いた。
すでにかすれてしまっているものの、ボールにははっきりとサインペンで
「夢をあきらめるな カズ」と、現地の言葉で記した跡があった。
200個ものボール全てに、カズは自筆のメッセージとサインを入れ、
それを子供たちは「カズ」というメーカーのボールであると思い込んでいたのだ。
俺は、代表合宿に参加するモリシとアキを激励しようと、選手達の到着を待ちわびていたんだ。そうこうするうちに選手達を乗せたバスが駐車場に到着して、選手達がグラウンドへ向けて歩いてきたんだ。そうこうするうちに、黒崎や前川なんかの今となっては地味な選手達(ファンの人、ゴメンねw)に混じって、明らかにオーラが出てる選手が二人、こっちへ歩いてきたんだ。それがカズと前園だった。二人で並んで歩いて来た。仲良かったんだろうな。俺、ミーハーみたいに凄ぇって思ったよw 俺は、目の前まで歩いて来たカズと前園に
「サイン頂けますか?」と訊ねたんだ。するとカズは、にっこり微笑んで
「もちろん」と答えてくれた。 そうしたら前園は俺を無視してスタスタ歩いて行こうとしたんだ。そうしたら、今までニコニコ微笑んでいたカズが急に険しい顔になって
「おい!ゾノ!!」・・・って前園を呼び止めたんだ。 びっくりして振り返る前園にカズは
「おめぇ、プロだろ?」・・・って語りかけたんだ。そうしたら、前園、こっちへ戻ってきてサインしてくれたよ。
そん時のカズ、おしっこちびるくらい格好良かったよ。
嘘でも冗談でもない話。カズさんは覚えてないだろうけど俺はカズさんに声かけてもらったことがあるよ。俺が小学生の頃のことだからもう10年も 前のこと。長崎のサッカーの大会で俺はそれに出てた。カズさんはそれにゲスト(解説者?)で来てた。松木さんも、確かいたよ。で、俺がいたチームは、一回戦で優勝した国見FCにボロ負け。腐った俺は、飯も食わずに会場の外に出て座って泣いてた。そしたら、通りがかったカズさんが来て
「サッカー好きなら諦めるなよ」・・・って言ってくれた。そして、俺の手を取って立ち上がらせてくれて「いい動きしてたよ」って言ってくれた。今もサッカー頑張ってます。今日は休みだけどw カズさんみたいにサッカー上手くなりたいです。俺の目標はいつまでもカズさんです。
おそらくカズほどサッカーが好きで、サッカーの為に生きている人はいないだろうと思う。自分がカズほど小説に身も心も捧げているかと問いかけてみると、カズがまさにキングである事が分かる。カズのようにはいかないが、自分も可能な限り時代小説の発展と普及に微力を尽くし、後に続いてくれる人達の力になりたいと思うのであります。「国書文芸カレッジ」の講師、頑張ります!