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◇◆◇ 航空事情 第25号(2001/08/13)◇◆◇
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【目次】

★エアライン情報★
日本航空 韓国の障害者施設の親子をTDLへ招待
日本航空 ホストコンピューター障害、8千人に影響
全日空 エアカナダとの共同運営路線を拡大
スカイマーク・エアラインズ 東京・鹿児島線に参入
エア・ドゥ 管理職も給与5〜20%カット
エア・ドゥ 初の機内販売、ぬいぐるみとストラップ
エア・ドゥ 学生応援団
ユー・エス・エアウェイズ 買収案を再度拒否
欧州航空各社 4〜6月期、大幅減益
ブリティッシュ・エアウェイズ 4〜6月期、営業利益が半減
サベナ・ベルギー航空 日本路線から撤退、リストラ策発表
キャセイ・パシフィック航空 2001年中間期利益40%減、貨物量の減少響く

★航空機メーカー★
三菱重工業 エアバス社超大型旅客機のエンジン開発に参加
NKK 独自開発のチタン合金、米航空機材料リストへ掲載
三菱マテリアル プラット・アンド・ホイットニー社にエンジン部材を供給

★空港情報★
羽田空港 国際線定期便1日100便確保へ
関西空港 2期工事最小限の整備に

★地方空港★
那覇空港 新滑走路3,000メートルを想定

★安全情報★
エコノミー症候群の危険性 通知義務付けへ

★日航機事故★
日航機事故17回忌 ろうそく520本ともし、黙とう
御巣鷹慰霊登山 17回忌に遺族らが
犠牲者しのび 灯篭流し
英国の姉妹が提訴へ 遺族補償求める

★航空ビジネス講座★
《3》米国の規制緩和 ‐ 航空規制緩和法(2)

★ コラム★
アポロとジャンボ機

★航空データ★
エアバス社 7月機体引渡実績
ボーイング社 7月機体引渡実績

「★連載特集★ロシア航空事情」はお休みしました。

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【エアライン情報】

日本航空 韓国の障害者施設の親子をTDLへ招待
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ソウルの障害者福祉施設、走夢再活院で学ぶ身体、知的障害者10人と父母ら計22人が6日、
日本航空から東京ディズニーランド旅行の招待を受け、仁川国際空港を出発した。クリス
マスプレゼントなどで同院との交流がある日本航空が、ディズニーキャラクターの特別塗
装機のソウル初就航を機に、児童・生徒を招待したもの。

日本航空 ホストコンピューター障害、8千人に影響
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9日、午前7時半ごろ、日本航空の予約・発券を制御するホストコンピューターに障害が
発生し、発券ができなくなった。職員が手作業で対応したが、同社の成田空港発の25便に
1〜2時間の遅れが出て約8,000人に影響が出た。ホストコンピューターは同日正午に復旧
した。

全日空 エアカナダとの共同運営路線を拡大
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全日空とエアカナダは6日、双方の路線を共同運営する、コードシェアを16日から21路線、
週276便(現在は4路線、週28便)に拡大すると発表した。新たにコードシェアの対象にな
るのは、日本とカナダ、米国間が成田・バンクーバー、関西・バンクーバー、成田・シカ
ゴの各路線。このほか、成田、名古屋、関西と福岡はじめ国内5カ所を結ぶ全日空路線と、
シカゴからトロントなどカナダ4カ所へのエアカナダ路線も対象になる。

スカイマーク・エアラインズ 東京・鹿児島線に参入
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スカイマーク・エアラインズは2002年4月から、東京・鹿児島線を開設すると発表した。
現在、運行している路線は東京・福岡の1路線(1日6往復12便)だけだが、かねてから
地方路線への参入に意欲を示しており、鹿児島などの自治体が路線誘致に動いていた。鹿
児島線に使用する航空機は来年3月導入予定の新機材を充てる。

同社は1998年9月に東京・福岡線を開設。その後、大阪・札幌線、大阪・福岡線にも参入
したが、利用率の低迷でそれら大阪発着2路線は2000年6月に廃止している。

エア・ドゥ 管理職も給与5〜20%カット
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経営再建中の北海道国際航空(エア・ドゥ)は、7月から課長級以上の管理職全員の給与
を5〜20%カットした。既に6月から実施している役員報酬カットと合わせ、再建の道筋が
立つまで継続する方針。

賃金カットの対象となったのは、約280人の社員のうち部長級、課長級の62人。同社による
と、年間で計約7,000万円の経費削減になるが、単純に割ると一人当たり年間103万円とな
る。

石子社長も報酬を50%、他の役員3人も約30%カットしており、全社の人件費で年間約
8.500万円を圧縮する。同社は、道が7月に約20億円の支援を決定したのを受け、社員が自
ら血を流して報いたいとしていた。

また、現在、東京都港区の浜松町モノレールビルにある同社東京営業所を、8月中に東京
交通会館6階のビジネス支援センターへ移転することを決め、同時に同会館一階の、どさ
んこプラザにもチケット販売コーナーを置くことを決めた。

エア・ドゥ 初の機内販売、ぬいぐるみとストラップ
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北海道国際航空(エア・ドゥ)は8日から18日まで、同社のマスコットのヒグマ、ベア・
ドゥのぬいぐるみセット商品を機内販売する。同社が機内販売をするのは初めて。商品は、
Sサイズのぬいぐるみとロゴ入りミニタオルなどが入ったSセットと、Mサイズぬいぐる
みと同社客室乗務員の制服姿のリカちゃん人形型携帯電話ストラップなどが入ったMセッ
トの二種類。いずれも千円、各限定500セット。

エア・ドゥ 学生応援団
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北海道国際航空(エア・ドゥ)をサポートする、学生エア・ドゥ応援団が8日、札幌市中
央区のエア・ドゥ本社で第一回会合を開き、本格的に活動を開始した。メンバーは札幌を
中心に約20人で、今後道内外の学生に参加を呼びかける。同応援団は、エア・ドゥに関心
を持つ北大、小樽商大、北星学園大などの学生らが7月に結成したもの。

ユー・エス・エアウェイズ 買収案を再度拒否
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ユー・エス・エアウェイズは、米国グローバル航空が提示していた買収案を改めて拒否し
たと発表した。同社は6日にも同買収案の拒否を表明していたが、その後グローバル航空
が買収価格を引き上げて再度打診を求めたのに対応したもの。

グローバル航空は買収価格を事前の18億ドルから20億ドルに引き上げることを明らかにし
た。これで買収価格は当初の提示額から約10%上昇したが、それでもユー・エス・エアウ
ェイズ側はグローバル航空と、取引する意思はないと断言。同社が提示する案は、信頼性
に欠けるなどと指摘した。

欧州航空各社 4〜6月期、大幅減益
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欧州の航空各社の業績が悪化している。主要各社の4-6月期決算は軒並み大幅な減益になっ
た。世界的な景気減速で旅客需要が予想を下回ったほか、燃料価格の上昇も響いた。各社
とも今後、収益環境が一段と厳しさを増すとみて、冬季の旅客座席数削減を表明する企業
が相次いでいる。

ブリティッシュ・エアウェイズ(BA)は、夏よりも冬の方が影響は厳しさを増すと見て
いて、来年の夏までは回復に期待できないと、一段の収益悪化を懸念している。燃料費の
高騰も採算悪化につながっており、BAの場合、4-6月期の燃料費は同13.7%上昇した。

昨年の好調な欧州景気を背景に旅客数の大幅拡大を見込み、思惑が外れた例も目立つ。ス
カンジナビア航空は、前年同期比12.5%の増収ながら、営業利益が同84.2%減。上期(1〜
6月期)に国際線の供給座席数を約7%増やしたが、実際の旅客数は約5%増にとどまり、採
算が悪化してしまった。

ブリティッシュ・エアウェイズ 4〜6月期、営業利益が半減
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ブリティッシュ・エアウェイズ(BA)が6日発表した2001年4-6月期決算は、営業利益が
5,000万ポンド(約89億円)と、前年同期比48.5%減少した。米国をはじめとする世界的な
景気減速が主因で、来年の夏まで本格的な景気回復は期待できないと見ている。

売上高は同0.6%減の22億9,700万ポンド(4,066億円)。家畜伝染病の口蹄疫の影響で、観
光需要が落ち込んだのも響いている。

サベナ・ベルギー航空 日本路線から撤退、リストラ策発表
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ベルギー国営のサベナ航空は9日、ブラッセル・東京、ワシントン路線からの撤退や、1,600
人の削減を柱としたリストラ策を発表した。長距離2航路の廃止は今年の冬季シーズンか
ら実施する。大株主のスイス航空が増資受け入れの条件として思い切ったリストラを求め
ていたためで、2005年の黒字化を目指す。

リストラ策は不採算路線からの撤退と、本業以外の業務の売却が柱となっている。長距離
は当初の13路線から、東京、ワシントン線を除いた11路線に縮小。同社の日本便は東京(成
田)便しかないため、日本路線からの撤退となる。併せて欧州内の6路線も廃止する。

機内食調達、貨物、整備の各部門も売却、各地にあるホテルも売却先を探している。こう
した対策の結果、社員を1,600人減らせるとしている。

キャセイ・パシフィック航空 2001年中間期利益40%減、貨物量の減少響く
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香港のキャセイ・パシフィック航空が8日発表した2001年1-6月期中間決算によると、世界
的な景気減速に伴う貨物量の減少などで最終利益が13億1,900万香港ドル(約211億円)と
前年同期比39.4%減少した。売上高は同1.9%減の約158億香港ドル。貨物量は同5.2%減少
した。7月に本格化したパイロット組合との労働争議の下期決算への影響については、乗客
減や飛行機のチャーター費用などで3億5,000万香港ドルの損失の発生を見込んでいる。

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【航空機メーカー】

三菱重工業 エアバス社超大型旅客機のエンジン開発に参加
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三菱重工業は、超大型航空機用エンジン、GP7000シリーズを共同開発中のゼネラル・
エレクトリック(GE)社とプラット・アンド・ホイットニー(P&W)社に、開発協力
を申し入れていることを、8日明らかにした。

三菱重工はエアバス社から、A380型機の機体開発で協力要請を受けており、機体、エ
ンジン開発の双方で参画する可能性が高まっている。

GP7000シリーズの推力は67,000〜68,000ポンド。世界の航空機エンジンシェアでト
ップのGE社と同2位のP&W社が、初めて手を結んで開発するエンジンとなる。同エン
ジンシリーズは、エールフランスが発注したA380型機への採用が決まっている。

NKK 独自開発のチタン合金、米航空機材料リストへ掲載
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NKKは6日、同社が独自開発したチタン合金、SP―700が米国の航空機用金属材料
リスト、ミルハンドブック5への掲載が決まったと発表した。同社は、リストへの掲載に
より航空機やロケットの機体に同製品の使用拡大を見込んでおり、現在は年100トンの販
売量を近い将来1,000トン程度に拡大したい考え。

ミルハンドブックは連邦航空局など米国の航空宇宙関係機関がまとめた材料リストで、航
空機メーカーはリストに掲載された材料を使用するケースが多い。NKKによると、日本
で開発されたチタン合金が同リストに掲載されるのは初めて。

三菱マテリアル プラット・アンド・ホイットニー社にエンジン部材を供給
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三菱マテリアルは2002年6月から米国プラット・アンド・ホイットニー(P&W)社に対
し、航空機エンジン向けのニッケル合金製精密鋳造品の供給を始めることを、9日明らか
にした。来年3月に桶川製作所(埼玉県桶川市)内に設備を増設し、量産体制を整える。

現在、P&W社、ゼネラル・エレクトリック(GE)社、英国ロールス・ロイス社など大
手航空機エンジンメーカーへ精密鋳造品を供給しているのは、米国のホーメット社とPC
C社の2社しかない。今後、三菱マテリアルの航空機用エンジン部材への本格参入で、シ
ェア、価格競争は一段と激化するものと思われる。

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【空港情報】

羽田空港 国際線定期便1日100便確保へ
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国土交通省は11日、現在、4本目の滑走路建設を検討している羽田空港について、再拡
張後に1日100便(往復)程度の定期国際線枠を設ける考えを明らかにした。再拡張により
現在の年間発着能力27.5万回が41万回に拡大することを前提に、現在チャーター便しか使
用していない早朝・深夜の時間帯の活用などを含め検討を進める。同省は、羽田空港は国
内線、成田空港は国際線の拠点とする基本姿勢を堅持するとしているが、現在の成田空港
の発着能力が1日185便であり、1日100便の発着枠は事実上の国際化と言える。

同省による羽田空港の需要予測では、国内線利用者数が1999年度の5,227万人から2015年度
は7,900万人、2020年度には8,400万人に拡大。この場合、必要な発着回数は、航空機の小
型化を見込まなければ、年間で2015年度が37.3万回、2020年度が39.6万回になる。このた
め、2015年度ごろをめどに新滑走路(2,500メートル)を建設、発着回数を大幅に増加させ、
約41万回の発着回数を確保。2015年度段階で約3万回(1日41便程度)、2020年度段階で
約1万回(1日14便程度)の余剰枠が生まれるとし、これを国際線に充てる考え。

ただ、余剰枠だけでは世界各地に発着枠を割り当てるには少ないため、1日100便程度が、
アジア、欧州、米州など各地域に公平に割り当てる最低限のボリュームとして、早朝・深
夜の時間帯利用などを含め、国際線導入に向けた検討を進める。また2020年度段階ではさ
らに余剰枠が縮小するが、その場合は国内線を削減する対応もあるとしている。

一方、来年5月に暫定平行滑走路が供用開始となる成田空港も2015年度ごろには発着能力
が限界に達するため、羽田、成田に次ぐ3番目の空港建設が必要としており、学識経験者
などで構成する首都圏第3空港調査検討会が現在8候補地の絞り込みを進めている。同省
は第3空港が国内・国際共用空港になるとの見通しも示している。

関西空港 2期工事最小限の整備に
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国土交通省は7日、関西空港2期工事について、用地造成費の削減やターミナルビルの建
設先送りなど、供用開始予定の2007年段階で最小限の整備にとどめる見直し案をまとめた。
大阪府など地元自治体と財界で組織する関西空港全体構想促進協議会も同様の見直し案を
まとめ、同省は見直し案に基づき、来年度予算で概算要求する。

関西空港は有利子負債が1兆円を超え、金利負担が年間400億円超に上ることから、昨年
末、当時の大蔵大臣と運輸大臣が事業計画見直しの覚書を取り交わした。これを受け、国
土交通省と地元は2007年の2期平行滑走路の供用開始を前提に、事業費を削減する一方で
国・自治体・民間が従来通りの出資や無利子貸し付けを実施し、金利負担を軽減する方策
を検討してきた。

見直し案は、下物(土地造成)事業費を当初の1兆1,400億円から、工法改善や横風用滑
走路建設に伴う地盤改良工事の先送りなどで1兆円に圧縮。これにより無利子貸し付け部
分を当初の55%から62.7%に引き上げる。さらに1兆円のうち1,000億円は2007年以降
の段階的施工とし、上物(滑走路や施設など)事業費も当初の4,200億円から第2空港タ
ーミナルビルや駐機場の一部の建設先送りなどで半分の2,100億円に圧縮。合計で総事業
費1兆5,600億円のうち、4,500億円を削減した。

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【地方空港】

那覇空港 新滑走路3,000メートルを想定
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那覇空港の新滑走路の配置計画案について検討した、内閣府沖縄総合事務局の、那覇空港
長期展望調査(2000年度)がこのほどまとまった。それによると、新滑走路は大嶺岬の南
側、規模は大型機のホノルル直航便就航が可能な3,000メートルを想定している。総合事務
局では、検討段階の基礎資料とした上で、新滑走路の事業化は、本年度実施する航空需要
予測調査の結果を踏まえ慎重に判断したいと話している。調査報告書には新滑走路の配
置・運用案、ターミナル配置案なども示されている。

方位については、風向きと航空機騒音の影響の観点から現滑走路と同じ南北方向が望まし
く、平行滑走路に絞られるとした。規模は国際線の定期便が成立する路線、航空機材など
から検討。那覇・ホノルル間の旅客と貨物を満載する必要滑走路長が、中型のMD-11型機で
2,800メートルであることから、現滑走路と同じ3,000メートルとした。需要調査結果を見
てさらに検討する。

位置については、大嶺岬以北は水深が深く建設費の増大が見込まれること、同水域が県の
自然環境保全指針で評価Iとされていることから、経済性と環境への配慮の観点から岬南
側とした。同時に現滑走路から300メートル(最小間隔)、760メートル(航空管制で同時
離陸が可能)、1,050メートル(瀬長島西に100メートルの海域を残す)、1,310メートル(独
立運用が可能)、1,500メートルまでのA案からE案までの五案を提示。

比較検討では、滑走路間隔が広くなるに伴い消滅する干潟、リーフが長くなり環境負荷が
大きくなると指摘。逆に滑走路間隔が300〜950メートルだと、瀬長島の大幅な改変、西側
ビーチの消滅が生じ文化財保護を含め地元住民の理解を得ることは困難と分析している。

現滑走路の航空機離着陸回数は年間、11万3,000回(2000年度、自衛隊機の一部訓練約5,000
回を除く)。沖縄県の航空需要予測では、2010年度に14万1,00回に達し、処理能力を超え
るとされている。

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【安全情報】

エコノミー症候群の危険性 通知義務付けへ
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英政府は、いわゆるエコノミークラス症候群に対処するため、乗客に航空券を渡す際、そ
の危険性を文書で通知するよう航空各社に義務付ける方針を発表する見込み。

航空各社は、同症候群と長時間飛行の明確な因果関係は立証されていないと主張している
が、英政府の運輸、保健当局は既に十分な証拠があるとして、数週間以内にこの方針を発
表すると見られている。

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【日航機事故】

日航機事故17回忌 ろうそく520本ともし、黙とう
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520人が犠牲となった1985年の日航ジャンボ機墜落事故の17回忌を迎え12日、事故現場とな
った群馬県上野村の御巣鷹のふもとにある、慰霊の園で追悼慰霊式があり、遺族、日本航
空関係者ら約210人が犠牲者のめい福を祈った。墜落時刻の午後6時56分には犠牲者の数と
同じ520本のろうそくに灯をともし、1分間の黙とうをした。

式典後、会見した日本航空の兼子勲社長は、保管している事故機の圧力隔壁やボイスレコ
ーダーなどは主に社員教育に使うため残し、それ以外に保管している機体の残骸はいずれ
廃棄する考えを示した。上野村の黒沢丈夫村長はあいさつの中で、航空会社の格安競争が
空の安全を犠牲にしないよう危ぐしていると話した。

御巣鷹慰霊登山 17回忌に遺族らが
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御巣鷹の尾根には時折、小雨が降り注ぎ、山々は霧に包まれたものの、同日の慰霊登山者
数は、午後4時現在で86家族308人。昨年の同時刻(67家族201人)より、大幅に増えた。

尾根の、昇魂之碑前では午前10時半から、犠牲者に黙とうし、安全の鐘を鳴らすなどの追
悼行事が行われた。また、犠牲者を表現した9体の像、航空安全祈念像や鎮魂の鐘が除幕さ
れた。

犠牲者しのび 灯篭流し
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尾根のふもとの神流川では11日、遺族らが犠牲者のめい福を祈って灯篭流しを行った。霧
雨の中、墜落時刻の午後6時56分が近づくと、遺族らはそれぞれの思いを胸に、約300個の
灯篭を川面に浮かべた。流れる灯篭に手を合わせ、ゆっくりと目を閉じる人もいた。

英国の姉妹が提訴へ 遺族補償求める
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1985年8月の日航ジャンボ機墜落事故で死亡した大手銀行の関連会社役員、湯川昭久さん
(当時56歳)の英国在住の娘2人が近く日本航空とボーイング社を相手に遺族補償を求め
る訴訟を起こすことが明らかになった。

提訴するのはキャシーさん(20歳)とダイアナさん(15歳)の姉妹。母親スザーン・ベイ
リーさん(43歳)は湯川さんと結婚しなかったが、湯川さんは生前にキャシーさんを自分
の娘だと認めていた。ダイアナさんは事故の1カ月後に生まれた。

日本航空は姉妹が公的に湯川さんの子供と認められるまでは補償ができないとの立場をと
っていたが、昨年3月、英国高等法院がDNA鑑定で姉妹を湯川さんの実子と認定し、補
償に道が開けた。1年余り日航側と示談交渉をしたが金額が折り合わず、提訴に踏み切る
ことになった。いつ、どこで提訴するかは決まっていない。

同事故の遺族による損害賠償訴訟は日本と米国で33件起こされたが、1995年までにすべて
和解か示談が成立している。

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★ 航空ビジネス講座 ★

《3》米国の規制緩和 航空規制緩和法(2)

航空貨物
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連邦議会が、航空業界の最初の法的な規制緩和に着手したのは、1977年11月の国内線貨物
専門航空会社に対するものだった。国内線貨物専門航空会社には、自由な路線展開と運賃
設定の自由が与えられた。

また、その1年後には、新規参入を試みる国内線貨物専門航空会社に対しては、その適格
性、意欲、能力がある限り、民間航空委員会は事業免許を与えるようになりました。それ
以前には、事業免許が認められるにはそれ以上の要件が必要とされていました。公共の利
益と必要性が要件とされていました。それだけ新規参入の壁が高かった訳ですが、これが
取り払われました。

宅配急送業者
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国内航空貨物専門航空会社に対する規制緩和は、様々なかたちで目覚しい結果を航空貨物
輸送事業に与えました。その中で最も注目すべきは、宅配急送業者でした。預かった翌日
には受取人に届けられる、オーバーナイトサービスを宅配急送業者が始めたのは1970年代
前半のことでした。高価な商品や、配達時間が確かである必要性のある物や書類を対象に、
急速な伸びを見せていました。

しかし、この分野の成長を最も支えたのは規制緩和でした。規制緩和は、宅配急送業者の、
顧客からの高品質なサービスの要望にも応えられる、自由な運航を可能としました。宅配
急送業者の業績は、航空輸送事業分野において、10年以上に渡り高い成長を持続しました。

旅客分野
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そして、1978年に航空規制緩和法が施行されたことで、旅客輸送分野でも市場原理に基づ
く自由化が実現しました。米国国内線での、路線、運航(スケジュール)への規制が、連
邦政府による運賃規制と伴になくなりました。連邦議会は、向こう4年で次第に国内路線、
運賃の規制を廃止することを決めました。それに従い、1981年1月1日までに路線と新規
参入に関する規制が撤廃されました。そして、1983年1月1日までに運賃に関する規制が
撤廃されました。

民間航空委員会の自由化に向けての行動は、それ以上に早いものでした。法律の施行後1
年と経たないうちに、民間航空委員会は、航空会社が望む国内線の新規路線を殆ど全て認
めました。1985年1月1日、民間航空委員会は廃止されました。その役割の一部は、運輸
省をはじめとする、連邦政府機関に移管されました。

◎次回は、規制緩和後にも残った規制を取り上げます。

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【コラム】

アポロとジャンボ機
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再放送だと思いますが、先週、深夜のNHK総合テレビで、「人類、月に立つ」と言う米国
ホーム・ボックス・オフィス・テレビが製作した、全10回のアポロ計画のドラマをやって
いました。

高校時代、プロテスタント系の学校で米国人の英語教師もいました。夏休み前の土曜日の
夕方、米国人家族達のバーベキューパーティーに誘われる機会がありました。誘ってくれ
た英語の先生は、その時既に在日20年で、全て会話は日本語で済んでいました。

そこで、系列の大学に教授として派遣されていた、Dr.ヤングと言う人を紹介されまし
た。握手をしていると、紹介した英語の先生は、His brother went to the moon. と彼の
紹介を続けました。言葉が理解できるかおろおろしていましたが、「全部、知っている単語
だ。」と、ひとまず安心して、「ムーンってどこだっけ?」と考えていると、先生は右手の
人差し指で既に暗み始めた空を指差しました。「えっ、月!」と言葉には出ず、顔だけで驚
いていると、先生は By Apollo. と続けました。

Dr.ヤングはアポロ16号で月面に降り立った、ジョン・ヤング船長の兄弟でした。当時、
飛行機にも乗ったことのなかったものにとって、飛行機に乗って太平洋を超えてやってき
た、彼ら米国人ですら卓越した存在だったのに、その兄弟は月に行ったことがある。単純
に、「アメリカって、すごいな。」と思いました。

それから数年後、帰国したその先生を訪ねてアメリカに行く機会を得ました。既に、パン
アメリカン航空の太平洋路線が、ユナイテッド航空に売却されることが決まっていました
ので、また米国に行く機会があるかどうかは不明でしたが、最初で最後のチャンスと思い、
迷わずパンナムを予約しました。

出発の1週間前になり、初めて国際線の航空券を手にしました。分からない(分かる必要
もないのですが)記号がどういう意味なのかなど考えながら航空券を眺めていると、7時の
NHKニュースの最後で、残り少ない放送時間に押し込むような勢いでアナウンサーが、
所沢の東京航空交通管制部によると、日本航空の羽田発大阪行きの"機影がレーダーから
消えた"と、その時入ってきた第一報を伝えました。

9月初めの帰国する飛行機の中、日本の週刊誌で事故の記事を読むことが出来ました。ジャ
ンボ機に乗って、同じジャンボ機の事故記事を読むのは少し複雑な心境でした。

羽田空港から伊丹空港までの飛行時間は1時間足らずです。それなのに、なぜ方向違いの
群馬県で墜落したのか。それだけ重大な問題が、日航123便には起きてしまったわけで、
残念なことでした。犠牲となられた方々の、冥福をお祈りします。

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【航空データ】

エアバス社 7月機体引渡実績

A340:  3
A330:   0
A321:  4
A320: 10
A319:  8
A310:   0
A300F: 1
ACJ:   1
-----------
合計  31

ボーイング社 7月機体引渡実績

747-400:  2 (貨物機1機を含む)
777-200:  4
767-300:  2 (貨物機1機を含む)
767-200:   1
757-200:  4
737-900:   4
737-800: 13
737-700:  6
737-600:  1
717-200:   4
BBJ:    1
--------------
合計    42

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【編集後記】

お蔭様でその後、太平洋どころか、飛行機で大西洋、インド洋、地中海を渡り、アンデス
山脈を超える機会を得ました。

しかし、ジョン・ヤング氏はすごい。アポロ16号で月に立ったとき既に、4度目の宇宙飛
行だったのです。最初がジェミニ3号(1965年3月)で、ジェミニ10号(1966年7月)、
アポロ10号(1969年5月)と続き、月旅行後も最初のスペースシャトルミッションの船長
(1981年4月)、最初のスペースラボミッション(第9回目のスペースシャトル、1983年
12月)と、6回宇宙に行っている。

次元の違いを感じますが、兄弟とでも仲良くしておけば良かった。

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