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【甘口辛口】3月6日

2009.3.6 05:00
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 「これ以上待ったら賞味期限が切れる」と、亀田興毅が“世界前哨戦”と銘打った4日夜のノンタイトル戦の後に話したという。世界ボクシング協会(WBA)フライ級王者デンカオセーン(タイ)への挑戦は、王者のマネジメント権が混乱し暗礁に乗り上げていて、しびれを切らしているようだ。

 それはわかるが、テレビで見たWBCフライ級世界20位のビダル(メキシコ)との試合はつまらなかった。ビダルは31歳というわりには、どこかのオッサン風の容貌で、終始逃げ腰。打ち合いもなく2回KOであっさり終わった。これが“世界前哨戦?”と、首をかしげたファンも多かったろう。

 力を出し切り白熱した試合でファンに感銘を与え、その結果勝つか負けるかがボクシングの神髄だ。はじめにベルトありきの興毅は、勝って名前だけ守ろうというように見える。鍛え込んだ体で相当練習していることは一目瞭然だが、あるジムの会長は「あの相手では“チューンアップ”にもならなかったろう。もったいない」とつぶやいた。

 かつてテレビのバラエティー番組の企画から誕生した飯田覚士も名前先行型だった。しかし、努力を重ね、次々に組まれるハードな試合をクリアして“アイドル”から脱却。WBA世界Jバンタム(当時)級王座に就いた。井岡弘樹の3階級制覇を阻止した初防衛戦など引退までの約8年間、ファンはたっぷり賞味した。

 まだ22歳の興毅が賞味期限を口にするのは、まだまだ早すぎる。ベルトばかり求めず、日本人選手を含めた世界ランク上位の強い相手と戦い、たとえ負けたにしても、芯の強さを磨いていくことが賞味期限を切らさない方法ではないのか。(今村忠)


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