【千葉】不登校やひきこもりを乗り越えて仏門に入り、縁もゆかりもない土地に新しい寺を作った僧侶がいる。昨年10月に習志野市東習志野3に開所した浄土真宗本願寺派習志野布教所「照光寺」の住職、脇本正範さん(35)。「寺」は住宅も兼ねた賃貸1戸建てで、信徒はまだ1人もいないが、6月には広島県内の寺から本尊となる阿弥陀如来像を招き、本格的な活動を始める。【袴田貴行】
脇本さんは船橋市出身。高校卒業後に2浪したが、志望する大学に入学できなかったことから挫折感を味わい、無気力な日々を送るようになった。大学では常に疎外感や孤独感にさいなまれ、半年間自室にひきこもることもあった。
5年かかって大学を卒業後、IT関連企業に就職したが、会社の空気になじめず約1カ月で退職。両親の実家が寺で、幼いころから浄土真宗に親しんでいたこともあり、一念発起して、かねてからあこがれていた僧侶の道を志すことにした。
会社を辞めたことで父親から勘当された脇本さんは、長野県内の農家や旅館で住み込みで働きながら学費を稼ぎ、26歳で京都市内の僧侶養成学校に入学。卒業後は、大阪市内の寺や築地本願寺(東京都中央区)などで修行を続け、ようやく浄土真宗本願寺派の都市開教専従員として寺を開く運びとなった。
脇本さんは、浄土真宗の寺が一つもなく、戦後の軍用地跡への入植で、浄土真宗が盛んな北海道や北陸の出身者が多いとされる習志野を開所先に選んだ。合併で廃寺となった知人の寺から仏具を譲り受け、床の間を改造して「本堂」をこしらえた。
法事の依頼はまだないが、地元の商工会議所を通じて人生相談や仏事全般に関する相談会などを開き、地域への浸透を図っている。脇本さんは「楽しくて、安心する場所というのがお寺の原点。お茶を飲みに来るだけでもいいので気軽に立ち寄ってもらい、こんな自分も受け入れてくれた阿弥陀様の教えに触れてみてほしい」と話している。問い合わせは照光寺(電話047・478・2664)。
2009年3月4日