在日コリアンへの理解を訴える「近江渡来人倶楽部」が28日、日系ブラジル人など日系外国人の雇用と生活の実態についてのフォ
ーラムを大津市で開く。ジャーナリストの大谷昭宏氏らを招く。市民団体が2月に発足させた「しが外国籍住民支援ネットワーク」の中核、多文化共生支援センターの館長で、「在日外国人の先輩として力になりたい」と話す在日韓国人、河炳俊(ハビョンジョン)・同倶楽部代表に話を聞いた。【稲生陽】
--今回の企画の背景は。
フォーラムは今年で9回目ですが、雇用問題は初めて。昨秋からの不況で急きょテーマを変更しました。日系外国人の置かれている状況はいずれ顕在化する問題だったと思います。国は日系だからという「血統主義」で在留許可を与えるようになったのに、社会はまだ完全な外国人扱いをしています。公的な日本語教育制度もない。祖国としてこれでいいのでしょうか。
--なぜ、日系人支援を担おうと?
私たち在日コリアンは「準日本人」と言うべき立場で生きてきました。ようやく根付き始めた私たちが新しい在日外国人の土台になりたいと思いました。「外国人も厳しいが、日本人も厳しい状況」とよく言われます。しかし、日系外国人の労働者は89年、産業界の要請で入管法が改正され、日本に連れてこられたようなもの。使い捨ては見過ごせません。差別に苦しんできた私たちと同じ苦労はさせたくない。
--フォーラムで何を訴えますか。
今まで日本を支えてきた人々が困っているので、社会全体で支えるべきではないか、ということです。民間でやった方がうまくいくこともありますが、今回は官でもやらなければならない。そういう声を大きなものにしていきたい。
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フォーラムは28日午後2時、大津市におの浜のピアザ淡海で。大谷さんの講演と座談会の2部構成。無料。先着順、定員400人。問い合わせは同倶楽部(077・526・2929)。
毎日新聞 2009年3月6日 地方版