米銀最大手バンク・オブ・アメリカ(バンカメ)に吸収合併され公的資金を受けている証券大手メリルリンチで、昨年幹部らが数十億円という多額の報酬を受け取っていたことが明らかになった。1人で約33億円も得た例もあった。米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)が4日、関係者の話として伝えた。
それによると、1000万ドル(約9億9000万円)以上の報酬を得た幹部は11人に上り、さらに別の149人が300万ドル(約3億円)以上の報酬を得ていた。メリルは昨年、276億ドルもの赤字を計上し、同社を今年1月に吸収合併したバンカメには総額450億ドルの公的資金が投入されている。公的資金投入に対し「銀行救済」との批判が根強いが、メリル幹部の巨額報酬は世論や議会関係者から改めて強い非難を受けそうだ。
報酬は現金と株式を合わせる形で支払われた。同紙によると、幹部のうち、投資銀行部門のアンドレア・オーセル氏(45)=写真・メリルホームページより=が受け取った報酬額は3380万ドル(約33億4600万円)で、同氏の前年の受け取りをやや下回った程度だった。元幹部のピーター・クラウス氏は、2940万ドル(約29億1000万円)を得ていた。
大半は株式で支給されており、支給後の株価下落により価値が大幅に目減りしている可能性はあるという。
同紙は独自の調査により、高額報酬取得者上位10人をほぼ特定できたとしている。
毎日新聞 2009年3月5日 東京朝刊