未収金問題解決へ四病協がマニュアル
病院経営を圧迫する未収金問題に対応するため、日本病院会や日本精神科病院協会(日精協)などでつくる四病院団体協議会(四病協)は、未収金の発生防止や回収のポイントなどをまとめたマニュアルを作成した。全国5760の会員病院に配布し、広く活用を促す。日精協が3月5日、記者会見を開き、明らかにした。
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四病協が2005年に会員病院を対象に行った実態調査では、回答した2780施設の未収金の累積総額(過去3年間)は約426億円で、これを基に全5570施設の総額を推計すると、累積総額は3年間で約853億円に上ることが明らかになっている。
マニュアルでは、「発生防止」と「回収」に関する具体的な対応策を示している。
発生防止対策は、▽受付時の対応▽医療費に関する情報提供と説明▽保証金制度▽支払い方法選択肢の多様化▽社会資源の活用▽院内の体制づくり▽保険者との交渉―の7項目。
保険者との交渉では、退職や転居で受給資格がなくなった後も、資格を喪失した保険証で受診する患者への対応について説明。現在のシステムでは、保険証の資格喪失の確認が困難な上、レセプトの「返戻」を求められるまでその事実が分からないため、マニュアルでは、「保険証の確認が医療機関で行われたことが事実であり、コピーや確認履歴が残っているならば返戻に同意しない」と明記している。
また、一部負担金が発生する生活保護受給者に対しては、「福祉事務所の中には、受診前の連絡なしに医療券に一部負担金の金額のみを記載してくる場合がある」として、初診時に医療券を持参しない場合、電話で負担金の有無を必ず確認するよう求めている。
未収金の回収については、医事課や未収金対応チームを中心に、「医療機関全体で発生した未収金を少額でも回収する気持ちで臨まなければならない」と強調。具体策として、▽医師、看護師も含めた院内体制を整え、責任の所在を明確にする▽未払い回収強化月間など一定期間ごとに院内の体制を刺激する▽転任の場合、前の医療機関で未収金が発生していないかを確認する―などを挙げている。
また、未払いについて、▽入院前の案内通り、基本的には退院日までに全額支払う▽後日精算の場合も、一定期間(1週間程度が一般的)内で全額支払う▽分割払いでも、1か月以上全く支払いがない場合、医療機関として受け入れない―の3点を基本に、後払いに関する誓約書の作成を強く勧めている。
■資格喪失の保険証は「保険者の責任」
日精協の千葉潜常務理事は5日の会見で、保険証の資格喪失問題について、「資格喪失の確認が医療機関でリアルタイムにできるようなシステム導入」の必要性を強調し、「この情報化のご時世において、いかにも前時代的なことをやっていることの証左でもあり、その付けを医療機関が受けるという状態になっている」と説明。レセプトのオンライン化により、「保険証の確認ができるようなシステムづくりが可能」との認識を示した。
また、山崎學副会長は、資格喪失の保険証で医療機関が保険請求を行った場合、「不正請求」になっている点に触れ、「厚生労働省が発表している不正請求の中に、資格喪失の保険受診も入っている」と指摘。その上で、「あくまで保険証を発行した保険者の責任であって、病院側の責任ではないのに、病院で確認できないようなシステムで診療させ、それを『不正請求』というのは非常におかしい。社会保障カード創設の際には、保険証の資格確認が瞬時に行える端末をすべての医療機関に配るようなことを考えてほしい」と訴えた。
更新:2009/03/05 19:43 キャリアブレイン
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