北米などで両生類に大きな被害を出しているラナウイルスが、国内でも野生のカエルに感染し大量死を起こしていたことが、宇根有美・麻布大准教授の調査で分かった。動物の感染症対策に取り組む国際獣疫事務局(OIE)が世界中に注意を呼び掛ける感染症で、国内で確認されたのは初めて。
宇根准教授によると、オタマジャクシからカエルに成長する途中のウシガエルの死骸(しがい)が08年9月上旬、国内の1カ所の池で大量に見つかった。同月下旬には1日だけで数千匹の死骸が確認され、10月末にラナウイルスと確認された。池は消毒など感染拡大防止措置をとったが、数万匹のウシガエルが死んだという。確認された地域は公表していない。
ラナウイルスの仲間は90年代から、国内で海水の養殖魚にしばしば大量死をもたらしたが、今回は周辺の魚で感染死は確認されていない。ヒトが感染する恐れはない。国内で両生類に影響する病原体には06年に確認されたツボカビがある。ツボカビはオタマジャクシでは発症しないが、ラナウイルスは成長途中のカエルで発症する点に特徴がある。
検出されたラナウイルスのDNAは台湾で発見されたタイプと似ているが、感染経路は特定できていない。宇根准教授は「これから暖かくなってカエルの活動が活発になる。警戒を強めたい」と話す。【江口一】
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