株式市場での相場管理に、日米双方から不満の声があがっている。株価が10年来の安値をつけた米国では、政府がバブル崩壊後に発生する自然な売りを抑えているため、かえって不安定な相場になっている、という。この批判は、政府が価格の下支えのための介入に出ることに対してのみならず、オバマ政権の対策が、効果のほども定かでないのに、市場に必要以上の期待を与えたことにも向けられている。
日本での株価対策はそれ以上に罪作りだ。3月の期末を控えて、この株価では多くの金融機関が厳しい決算を余儀なくされるために、政府は直接間接、株価対策に乗り出している。その代表例が、持ち合い株の政府買い取りの再開だ。既に日銀が銀行の保有株式を買い取る対策を打っているが、こちらは買い取る相手を拡大し、株の需給改善を狙う。60年代の証券不況時に、日本共同証券を設立し、株価を押し上げた事例や、アジア危機時に香港が同様の対応をして成果を上げたことなどが念頭にあるようだ。
これに旧公的機関が側面支援の形で株を買い始めた。米国の株価が下げ続ける中で、日本の株価が一時反発したため、これに追随する投資家も少なくなかった。しかし、株価対策といっても、企業の収益力を高める本質的なものでなく、単に市場の需給に影響を与えるだけで、しかもその支援が中途半端だ。だから米国発の大きな下げが来ると、支えきれない。
結局、対策に期待して乗った投資家ははしごを外され、損をすると余計手が出なくなる。本来の株価対策は、景気のてこ入れで、将来の企業収益改善を期待させるのが筋。中途半端な相場介入はむしろ当局の信用を損なう。(千)