2009年3月6日 2時30分 更新:3月6日 3時32分
政府は、「当面独自の有人宇宙計画は持たない」としている現在の宇宙開発の基本戦略を転換する方針を固めた。月の有人探査などを念頭に、将来の目標として独自の有人宇宙活動能力を持つことを5月に策定予定の宇宙基本計画に盛り込む。その上で、今後1~2年かけて技術的な行程表を策定する考えだ。
構想の原案は6日、有識者でつくる宇宙開発戦略本部の専門調査会に提示する。有人活動の時期的なめどは明示しないが、月の探査や、宇宙空間での太陽光発電施設の建設などで有人活動の実施を検討するという。
現在の基本戦略は、政府の総合科学技術会議が04年9月に策定した。「当面(今後10年程度)の目標」として「独自の有人宇宙計画は持たない」と明記した。しかし、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の立川敬二理事長は2月の会見で「有人技術を自立的に持ちたい」と述べ、基本戦略の見直しを求めた。また、JAXAは国際協力で日本人の宇宙飛行士を月に送る将来構想を持っている。
月の有人探査を巡っては、米航空宇宙局(NASA)が06年、24年ごろをめどに有人月面基地を建設する構想を発表した。中国も資源調査などを目的に独自の有人探査計画を打ち出している。【西川拓】