VEGAN The New Ethics Eating by Erik Marcus もう肉も卵も牛乳もいらない 完全菜食主義 ヴィーガニズムのすすめ エリック・マーカス著 酒井泰介訳/早川書房 |
||||
(管理人から参考資料と解説) 本書にはアメリカにおけるBSE問題にも触れている。目的は牛肉を食べたくなくなることを期待してのことだろうが、BSEに関する記述はあくまで冷静で正確と思われる。 下の写真は2004年7月25日に全国紙に掲載された全面広告だ。肉の輸出を再開したい、全頭検査は何がなんでも避けたいというアメリカの意志が良く現れている。その内容と本書に記述された事実を見比べて欲しい。量の多い日本向けには全頭検査をしても良いという業者も一時出たが、影響の大きさ故に連合会がその声を潰してしまったようだ。しかしこの広告で欺瞞が明らかになった。この広告のタイトルは「正しい知識に目をつぶることが、アメリカンビーフ輸出再開問題解決の正解です」と正す必要がある。 久しぶりに見るこの広告は、日本の肉消費量を、そしてアメリカからの輸出量を飛躍的に増大させた、戦後のアメリカの行動を思い出させてくれた。あの時も、あること無いこと出鱈目を食品フェアや学校教育で吹聴した。しかしもう騙されない!騙されてはいけない!自分用には従来通り草を食べさせ薬を使わずに育てるのに、他人用にはそんなことはお構いなしの業界だ。特に輸出用はなんでも有りだ。それが改まらないのに信用出来るはずがないではないか。 で、消費者としてとるべき最善かつ唯一の道は、「肉やその副産物を食べない」である。そしてそれによってより健康な体を得ることが出来る・・・ 沈黙の春(ガンに克つために) VEGAN食 レシピ もう肉も卵も牛乳もいらない |
||||
@「どんな症状であろうが、食肉処理場に着いた時生きてさえいれば正規肉として処理出来る」のがアメリカの現状だ。被害防止に最善の努力をしているとは言えない。 ABSEは潜伏期間(無症状の増殖期間)が10年単位だ。症状のない牛であろうと、危険性の低い部位であろうとリスクをかかえているのは間違いない。 Bプリオンが蓄積する特定部位の除去を徹底すると云うが、これが嘘であることは本書を読めば明らかだ。瀕死の牛を食肉加工することをまず禁止せよ。 C数千万頭もいる中で20万頭程度では全く不十分だ。費用云々は言い逃れだ。全頭検査の費用は消費者が負担すれば済む。なに、そんなことをしたら競争力が失われる?その原因を作ったのは牛に共食いをさせた自分自身じゃないか! D牛の飼料として動物性タンパクを完全に禁止して蔓延を直ちに防ぐとともに、1万頭単位で自然死まで生かして検査することで潜在感染の無いことが証明されない限り、アメリカンビーフが安全とは言えない(もっとも、日本の牛だって怪しいものだが)。 Eそんなに自信があるならそれを証明するための努力をしろ。例えば、トレーサビリティー。日本に送りつけた肉が誰が育てたものか、どんな餌を用いてきたか、検査は何時行われたかなどの情報を付けろ。アメリカンビーフが原因で問題が発生したら、どれほどの保証をするのかも明らかにせよ。そんなに自信があるのなら、「アメリカからの輸入肉にBSEが検出されたら、日本国民への迷惑料を一人1000円、総額1000億円払う」と言えるだろう!(実はそんな自信はないのだ) |
||||
不死身のプリオン プルシナーの説では、プリオンは異常な脳蛋白質で、正常な脳蛋白質を自らと同じものに変える力を持っている。この転換はひとたび始まると、新たなプリオンが別のプリオンをつくりだすにつれて、加速度的に進む。 プリオンは、科学的には原子の一つ一つまで正常な蛋白質と完全に同じ構成物質からできている。ただ、その形が違うのである。理由ははっきりしていないが、プリオンは他の蛋白質を、自分と同じ奇形にしてしまう。奇形蛋白質は凝集するので、やがては脳組織に空隙を生じる。プリオンは科学的に脳蛋白質自体とまったく同じなので、免疫も働かない。こうしてプリオンは、感染した脳の中で何十年も蓄積していきかねない。 この異常な構造のため、プリオンはいかなる既知のウイルスやバクテリアも死滅させる極限状況でも生き延びる。調理でも死滅しない。過熱加工処理のようなもっと激しい状態さえも、歯が立たない。実際、プリオンは漂白、強酸への接触、高圧蒸気消毒、さらには焼却処理さえ生き延びる Paul Brown, et al "Resistance of Scrapie Infectivity to Steam Autoclaving after Formaldehyde Fixation and Limited Survival after Ashing at 360C," Journal of Infectious Diseases 161 (1990): 467-472; S F. Dealler and R. Lacey, "Transmissible Spongiform Encephalopathies," Food Microbiology 7 (1990): 253-279 T.A. Holt and J. Phillips, "Bovine Spongiform Encephalopa:thy," British Medical Journal 296 (1988) : 1581-1582. |
||||
人体実験をするわけにもいかず、研究者たちは代わりに動物実験を行なった。あらゆる種にBSEを注射してみたのである。より多くの種が海綿状脳症に感染するほど人間にも感染する可能性が大きい、という仮説だった。 驚くべきことに、BSEはほとんどすべての実験動物に感染した。研究者の一人アドリオーノ・アグッチは、こう報告している。「BSEは、それを接種されたほとんどすべての種に感染した。ネズミにも、猫にも、猿にも感染した。したがってわれわれは、これまでに知られている海綿状脳症とはまったく違う、特殊な病気を目の当たりにしていることになる。このため、この問題は人間にも感染し得るかもしれないとの前提で扱わなければならない」 こうした研究報告で理論武装したレイシーは、狂牛病は大規模な感染撲滅運動に値し、英国の牛肉消費者への安全対策も講じられなければならないと主張した。狂牛病が発生した群れは全体を殺して焼却処分しなければならないというのが、彼の意見だった。 レイシーは、「事実上、一世代がそっくり失われる恐れがある」と警告した。1990年代後半に執筆されたこの警告の中でレイシーは、英国人の大多数はすでにBSEに汚染された牛肉を食べており、その結果は誰にも予測できない、としている。 |
||||
「しかし牛は草食動物のはずでは?」 1996年4月、ハワードライマンは全米肉牛生産者協会のゲリー・ウェバー博士とともに、人気番組「オプラ・ウィンフリー・ショー」に出演した。ライマンは、BSE変種が米国の牛にも拡がっているかもしれないという自らの懸念を表明するために、オプラの招待を受けたのだった。ライマンによって暴露されたいくつかの事実に対するオプラの反応は、全国ニュースとなった(オプラによる自由闘達なコメントぶりのおかげで、全米肉牛生産者協会は彼女とライマンを「食料誹講罪」で訴えることになった)。 オプラはライマンに聞いた。「あなたはこの病気のおかげでエイズでさえありふれた風邪のように見えると言いましたが?」 ライマンは落ち着いて彼女を見ていった。「もちろんです」 オプラが応じる。「それはずいぶん極端なコメントでは?」 「それも、もちろんです」ライマンは言った。「いま言えるのは、私たちは英国とまったく同じ道をたどっているということです。10年間も、この問題にしっかりした対策を取らずに、広報問題としてお茶を濁してきたのですから。米国では毎年何十万頭もの牛が、夜にはぴんぴんしていたのに、明くる朝には死んでいるのです。こうした牛の大部分は挽肉として集中処理され、別の牛の餌にされています。もしこんな牛の一頭でも狂牛病に感染していたとしたら、1000頭単位で感染が拡がる恐れがあるのです。いいですか、今日の米国では、量換算で14%の牛は挽いて餌にされ、他の動物に食べられているのです」
オプラはショックに警戒を強めたようだった。「しかし牛は草食動物のはずでは?」彼女は言った。「他の牛を食べるなど、あるまじきことと思いますが」 「まったく、そのとおりです」ライマンは言った。「そして私たちは自然の摂理にしたがうべきなのです。牛には仲間ではなく草を食べさせるべきです。私たちは牛を肉食動物にしてしまったばかりか、共食い動物にしてしまったのです」 オプラが口をはさんだ。「ちょっ、ちょっと待って下さい。ハワード、あなたはなぜ牛たちが挽肉にされ、他の牛の餌になっていると知っているのですかか」 「ああ、自分で見ましたから」ハワードはかつて自らの牧場でも肉骨粉を使っていたことを思い出しながら言った。「USDA(米国農務省)の統計もあります。作り話ではありませんよ」 オプラは悲鳴を上げた。「もうハンバーガーは食べられないわ!」 そしてオプラは、全米肉牛生産者協会のスポークスマン、ウェバー博士に向き直り、身振りで指名して言った。「牛に牛を食べさせているんですか?」 「米国ではごく限られた量のそれが行なわれ…」 観客席から、悲鳴が漏れた。 「ちょっと待って下さい」ウェバーは言った。「食品医薬品局では・・・」 またも彼の声は聴衆の悲鳴にかき消された。 オプラが言った。「不安だと言わざるを得ません。そんなこと、やっぱり不安です」 「ええ、しかし忘れないで下さい。反甥動物である牛を単純に草食動物と考える前に、彼らが乳を飲むことを忘れないで下さい」(管理者注:これほどの大バカ発言はないだろう。 殆どすべての動物は乳児期に乳を飲む。しかし飲む期間は限られている。母の身体的負担が理由ではない。飲み続ければ障害を生むことになるから自然の摂理としてそうなっているのだ。人間だけが乳児期を過ぎても(牛の)乳を飲む悪しき行動を(何も分かっていない馬鹿としか云いようがない栄養学者のお陰で)始めたのだ。 |
||||
米国にBSEの恐れなし? 本書執筆中に、米国では一件のBSE発生も確認されていない(管理者注:ご存じのように最近発生した)。しかしまだ安心はできない。 CJDが人間に自然発生するように、牛のBSEも同じと見る研究者もいる。また、英国のBSEプリオンの変種はすでに米国に存在していると考える研究者もいる。ジェイムズ.ギブズは国立衡生研究所の専門家としてBSE関連の研究を20年間行なってきたが、米国に変種プリオンが存在することはあり得ると言う。さらにプリオンを発見したスタンリー.プルシナーも、BSEはわずかながら米国に存在しているに違いないと口を揃えている。 100万頭に一頭の牛が自然にBSEを発症したら、牛の組織を別の牛に食べさせている限り、感染は考えられないことではない。米国では、毎年数千万頭もの牛が飼育されているのだ。 英国でBSEが報告されるほぼ一年近く前の1985年に、ウィスコンシン大学マディソン校の獣医科学部長だった故リチャード・マーシュは、乳牛牧場主に「これまで見られなかったスクレイピー様の牛の病気」が米国に存在していると警告を発している。 マーシュ博士の警告の背景は少々ややこしい。1960年以降、米国の毛皮獣飼育場では、ミンクの海綿状脳症の大流行がこれまでに4回起きている(あらゆる海綿状脳症は、牛のBSEと似たプロセスをたどる。いずれも脳に穴が空き、確実に死に至るのである)。ミンク農家は、原因はスクレイピーと呼ばれる羊のプリオン病で死んだ羊から作った餌を食べたことだと信じていた。この説には大きな間題があった。研究者がスクレイピーに汚染された羊の脳をミンクに食べさせたところ、感染は起きなかったのである。謎が解けたのは、1985年、羊から作った餌をまったく食べていないウィスコンシンのミンクが、大量にスクレイピーに罹ったことがきっかけだった。こうしたミンクの餌に含まれていた肉は、ほぼもっぱら「ダウナー」と呼ばれる乳牛のものだった。ダウナーとは、原因不明で倒れ、衰弱のあまり再び立ち上がれない牛を指す業界用語である(管理者注:ダウナーは食肉として正規に流通している)。このミンクの観察をもとに、マーシュ博士は、米国にはある種のBSEが存在しており、それは「狂牛病」として現われるのではなく、「倒牛病」として症状を表わすのだと結論した。 牛が倒れる症候群は乳牛産業の一大問題で、米国では毎年、数万頭もの牛がほぼ原因不明なまま犠牲になっている
もしこれらの牛のごくわずかな一部が、未知の米国版BSEの犠牲になっているとすれば、その結果は大変なことになりかねない。倒れた牛が食肉処理場まで生き長らえたら、合法的に人間の食用に加工できる。そしてその骨(唇、頭、ひづめ等ともども)は茄であげられてゼラチンの原料にされる。ゼラチンは、子供が食べるマシュマロやゼリー菓子の主原料である 。
人間の食用に適さないと判断された場合、牛はしばしば他の牛の餌として加工処理される。1989年以降、英国産の牛と牛肉は米国では輸入が禁じられており、米国の「倒牛」は未だ一頭も英国の「狂牛」のような徴候を示していない。しかし・・・ |
||||
感染の可能性? 「オプラ・ウィンフリー・ショー」で、全米肉牛生産者協会のゲリー・ウェバーは、これまで米国の食肉処理場にはBSEの症状を示した牛は運び込まれたことがないと述べている。しかし、英国の大半の感染牛(したがって他の牛に感染させる力を持つ牛)は、はっきりした症状が現われる前に解体されていた。米国でも同じだ。1997年現在用いられている唯一のBSE試験では、脳が病気の最終段階に至った時に生成される化学物質を検出する方式をとっている。初期段階で感染を検出する手段はない。 米国では、一見、健康そうだが実は感染している牛の組織は、簡単に精肉に混入し得る。米国の乳牛の半分以上は4歳未満で解体されている。つまり、仮にBSEを持つ牛があったとしても、初期症状が現われる前に食肉処理場に送られる。肉牛が殺されるのは2歳未満で、BSE発症よりもずっと前である。 ・・・英国の人間に対する危険の多くは、わずかな脳や脊髄組織によって引き起こされたと強く疑われている。この汚染はおそらく、解体場で用いられている機械式の食肉処理装置によって引き起こされたものだろう。 これは骨の周囲から筋肉を剥ぎ取る装置である。こうした装置は、汚染されているかもしれない脳幹や脊髄の組織を、肉側に付着させることがある。《ミート・アンド.ポウルトリー〉1996年5月号は、筋肉組織を脊髄から引き剥がす機械を使っての精肉加工の過程を詳述している。ここにはネブラスカ大学の研究者らの記述が引用されている。「肉を脊柱から引き剥がすには機械的な圧力が用いられ……脊髄などのいくっかの部分が姿を現わす」肉引き剥がし機で得られた牛肉の大半は、挽肉やハンバーガー用の肉にされる。 これと同じほど憂慮されるのは、食肉解体処理に先だって牛を気絶させる方法が、いかにBSE感染のリスクを増すかである。家畜銃気絶法は解体場ではごく普通に用いられているが、牛の額に釘を通して気絶させるものだ(こうして頭部に重傷を負わせるこの方法は、意識がしっかりしているうちに喉を切るよりも「人道的」として開発された)。しかし、医学文献では、頭部を損傷した脳組織は身体の他の部位に拡がることが報告されている。テキサスA&M大学の研究者グループは、家畜銃気絶法が牛に対して同じ効果を持つのかどうかに興味を持った。彼らによる研究の結果、この米国で用いられている典型的な気絶法では、脳の一部が血流に混入することがわかった。1996年8月に英国の医学学術雑誌《ランセット〉に掲載された報告は、次のような記述で締めくくられている。「プリオン蛋白質は、解体のために気絶させられた動物の体中で発見されるものと思われる」(Tam Garland, Nathan Bauer, and Murl Bailey, Jr. "Brain Emboli in the Lungs of Cattle After Stunning," The Lancet 348 (August 31, 1996): 610.) こうした発見は、全米肉牛生産者協会側の主張を色褪せさせるものだ。 |