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プロフィール


相田 義人(あいだ・よしひと)
1948年8月8日生れ、東京都出身、板橋区成増在住。 家業が金属加工業だったため、ナイフメーキングには恵まれた環境の中で育ち、1977年に渡米、R.W.ラブレス氏に師事しナイフメーキングの基本を習得し、ナイフメーカーになる。今ではラブレスの工法とラブレスシステムに熟達し、ラブレスナイフ・真の後継者で、世界的なカスタムナイフメーカーといわれる。国内外にファンが多く、注文してから手元に届くまで3ヶ月ほどかかる。 趣味は、オートバイ、釣り、登山、読書、音楽、その他多才。

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ハンドル材のタブー

 前回に引続いてナイフのハンドル材について考えてみる。ナイフの思い入れを強くするのがハンドル材だが、ナイフにどんな素材でもハンドル材として付けて良い訳ではない。幾ら美しくても脆かったり、ナイフを錆びさせてしまう素材は避けなければならない。


 その他にも男の道具としてのナイフには付けてはならないタブーのハンドル材もある。その典型がマザーオブパール、真珠貝である。「いいか、義人。マザーオブパールをナイフハンドルには決して使ってはいけないぞ。」いつの頃だったかは忘れたが師匠のラブレスにこう言われた。真珠貝だけなのか、全ての貝に当てはまるのかは聞き漏らしたが理由はパールが「女性器の象徴」で、ナイフハンドルに使うなど「もってのほか」のことだそうだ。確かにパールハンドルのラブレスナイフは私の知る限り一本もない。またこの種のタブーは何もナイフに限ったことでもない。


 第2次世界大戦のアメリカ陸軍の英雄、パットン将軍は象牙のハンドルにアメリカ合衆国の象徴の白頭鷲をレリーフしたコルト45を愛用し、戦場に行く時はいつも身につけていた。その象牙ハンドルの素材をパールと勘違いしたある新聞記者に「パットン将軍はパールハンドルに白頭鷲をレリーフしたコルト45を愛用している」と書かれたことを知り、将軍はこういったそうである。


「パールのグリップのガンを持つヤツはニューオーリンズのポン引きだけだ」


師匠ラブレスにこのタブーを教えられた時、私は数十本のパールハンドルのナイフを作った後だった。パットン将軍やラブレスの考えは古典的で今はそんなことを言う人間はいないかもしれない。しかしカスタムナイフはアメリカが発祥で、我々は所詮それを真似ているのだから、タブーを良く心得ないと思わぬ恥をかくことになる。

2008年08月19日 15:34