世界各国で対策が急務となっている自殺予防に共同して取り組むため、秋田大学は韓国の高麗大学と連携することになった。秋田大が自殺予防研究で、海外と連携をとるのは初めてで、2日には韓国の研究者を招き、日韓連携の可能性を探るシンポジウムを秋田市で開催する。【百武信幸】
韓国でも日本同様自殺率は高く、インターネットの掲示板で中傷された芸能人が自殺するなど社会問題化。また、地方で孤立する高齢者がうつ病などから自殺するなど、問題の背景が日本と重なることも多いという。
秋田大は、昨年3月に高麗大で開かれた国際シンポジウムに参加し交流を開始。双方が実践する自殺予防対策の情報交換を重ね、今回、共同研究の可能性を模索することにした。同手法の調査を2国間で進め、共通する課題から予防対策を考えたり、学生らの人事交流を深め、研究者を育成することなどを考えているという。
秋田大医学部長の本橋豊教授は「同じ問題に直面している2国の大学が、それぞれの視点を生かしながら何ができるのか考えたい。今回の連携を出発点に、東アジアやヨーロッパなどの大学と連携を広げていきたい」と話す。
2日のシンポジウムでは、韓国のうつ病研究の第一人者といわれる高麗大医学部の李敏秀教授が参加。本橋教授や秋田大医学部の研究者と日韓連携の可能性を話し合う。秋田市のキャッスルホテルで午後3時半から、入場無料。
毎日新聞 2009年3月1日 地方版