関西テレビ放送株式会社

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テレビの木

立命館大学との共同研究#02〜スーパーニュースアンカー編〜

〜関西芸人、関西弁なしの関西ローカルバラエティは成立するのか?〜

「スーパーニュースアンカー」から見る「関西らしさ」についての考察

関西以外出身チーム…出演者のキャラクターの強さを分析して「関西ローカリティ」を考えました。
愛媛みかんと岐阜の柿の色からチーム名をダイダイズと名乗った両県出身の3人は、コントを交えながらの発表を行いました。
プレゼンでは、関西人は人間に強い関心があると述べ、そこから人ありきの番組作りを感じると考察しました。さらに山本アナウンサーの役割と人物像から、山本アナは「スーバーニュースアンカー」(以下、「アンカー」)が関西人の気持ちや興味に応えるために必要な役割があると述べました。
また、コメンテーターについて、東海地方のテレビ局に比べて一人あたりの話す時間が長いと分析し、一般論から踏み込んだ個人的な意見や過激な発言からも「アンカー」が視聴者に考える場やきっかけを提供していると考察しました。
[写真] 関西以外出身チームのプレゼンテーション。

関西出身チーム…コテコテな関西と東京とのブレンドという視点で考察しました。
全員関西出身で構成するこのチームは、「メディアで見る関西は我々関西人が知る関西よりちょっと大げさではないか?」という疑問から出発しました。
関西で求められる面白さについて、水曜の「ニュースでズバリ」コーナーを取り上げ、「なるほど(interesting)」に近い面白さを表していると述べました。さらに、「関西人は話にオチがないと満足しない。情報提供だけでは怒る。」といったステレオタイプな関西と実際の関西は違うと述べ、知識を売り物にしたバラエティやクイズ番組が関西でも人気が高いことを例に、知識の面白さも求められていると述べました。
「アンカー」が、関西独特のコテコテな(funnyな)面白さに、東京制作の全国ネット番組的な(interestingな)面白さを加えたカフェオレの状態になっていて、幅広い面白さを表していると考察しました。
[写真] 関西出身チームのプレゼンテーション。
カフェオレの法則
関西ローカル番組 東京制作(全国ネット番組) = 今のリアル関西
滑稽(funny) なるほど(interesting) リアルな関西の面白さ

「スーパーニュースアンカー」を統括する編集長から学生たちへ次のような意見と質問がありました。


  • 私達は、実は自分たちの番組をあまり分析したことがありません。「とりあえずやらなければならないことをやっている。やりたいことをやっている」というのが現状でどうしたらどうなるのか、決めてやっているわけではないんです。
    関西らしさを考えてもらったのですが、ニュースに「関西らしさ」が必要でしょうか?
    根本的なことをいうようですが考えていただきたいと思います。関西らしさを感じるということはあると思いますが、本当に感じるニュースを見たいと思うかどうか。
    「アンカー」は2年3か月前に始まりましたが、夕方6時から7時までだったニュースが1時間繰り上げ拡大して夕方5時から2時間やろうということになりました。他局はニュースの前に情報番組をもっていますがニュースではありません。ニュースとして2時間やっているのは関西テレビだけです。
    そこで何をしようとしたか。
    発信地はあくまで関西ですが、関西ローカルだけをやればいいの?そうではない。他の局より先に1時間早く始まるのに関西ローカルをやって正しいのか?そこで全国で起こっていること、もしくは全世界で起こっている大事なことで、その日伝えなければならないことを一番に伝えようと考えました。それが5時台のニュースの強みだと考えました。発信地は関西ですが、関西だけのネタを扱うという意味ではありません。 報道は東京で取材しても岐阜でも福岡でもやることは一緒なんです。
    我々は、取材してつかんできた事実を積み重ねてニュースにするわけでそこに「関西色は?」とは考えません。常に疑問に思ったこと、伝えなければならないこと、その時起こったことをいかに深く取材する、日本全国記者の仕事は一緒だと思います。

    Q:そこで改めて問います。関西らしさは必要だと思いますか?

  • 関西らしさは別に必要ないと思いますが、今回東海テレビと比較すると違うんです。例えば東京の同じ番組(フジテレビ)と比較してもメインキャスター2人が会話しただけで終わっているのです。関西テレビは、メインキャスター以外にもいろんな出演者がいて、みんなで作るイメージがあるので何か違うのでは?と思います。

  • 関西らしさは、いるかいらないかと言われればいらないかもしれないが、関西人としてはあったら楽しい。難しいニュースが多い中で、より見たくなる要素(コメンテーターなど楽しみ的な要素)としてあったらいいなというプラスアルファという感じで受け止めている。

  • 関西らしさは求めてなくて、親しみやすさというのを求めている。スタジオでのアナウンサーやコメンテーターのやり取りのおかげでニュースに入っていきやすいという感じが自分の中にあって好きです。

  • 研究対象としてみていたら「アンカー」は、案外、ローカルニュースばかりではないし、アナウンサーも関西弁をしゃべっていない。関西らしさを意識しているわけではないなと感じました。関西人に向けて送っていると思うだけで情報を受け止めやすくなっている。ターゲットが定まっており、ローカルの親しみ易さは、あったらいいと思います。

  • 関西らしさは必要ないとおもうが、関西といえば第2の都市です。それだけ都市が大きい。その関西から発信するということが東京発に比べてとても親しみやすい番組になっています。

  • ニュースというのは、「早く、正確に、偏らず。」の3つを心がけています。その上に皆さんが発表してくれた「わかりやすく。そして面白く。」というのを意識して作っています。それを関西らしさといえばそういう面もあるかなと思います。
    面白さについてはfunnyと、interestingがありましたが、我々はあまりfunnyは求めていない。やはりinteresting!いろんな人に興味をもってもらう、その時にどういう風にするか。同一のネタがあっても東京ではこうするが、関西テレビは違った切り方、見せ方で関西っぽくなる。天神橋筋商店街でインタビューをしていろんな意見を入れることで、東京ではありえないような、こんな見方があるんだと違ったニュースになる。金曜日の「あんたがアンカー」のコーナーを見ると関西ならではニュースの切り方や説明の仕方、インタビューが出てきます。

学生へのヒント

関西で見れるニュースは、全国ネットニュースといわれる東京のスタジオから発信される全国ニュース、それ以降に関西のニュースがあります。東京は、全国で今日起きたニュースからピックアップしたニュースを取り上げて伝える。その時何がニュースかがニュースバリューになる。一瞬の出来事がかれらのニュースバリューになる。
しかしローカル局はその地元でいろんなニュースを継続的に抱えて生きている。たとえば阪神大震災や池田小学校の児童殺傷事件、JR福知山線脱線事故などのニュースをずっと追い続けている。そして機会あるごとにやはり関係者しあった人びとのことをずっと追い続けている。何年も十何年も。広島では当然戦争・原爆を抱えている。その出来事の10年目のひとというのに興味を持って「いまどうしているか。どう生きてきたか。」その内面に入って取材していくのが地方局、我々の仕事に必要になってくる。ネタの選び方にも関西らしさが出てきます。
もうひとつはコメンテーター青山繁晴さん。宮崎哲弥さん。全国ネットでも時々見る人ですが、彼らが口をそろえて言うのは「東京ではしゃべれないことを関西ではしゃべれる。」東京は政治が近い、するとしゃべったことにすごく敏感に反応がされて迷惑がかかることもある。東京では気を使ってしゃべれない裏ネタが関西ではOKとなることもある。それが関西らしさといわれることもあります。 出演者が人を意識するというが、人を意識するとは出役のひとやアンカーマンだけでなく、VTRも当然人を意識して作っています。キーワードは「『人』が『人』を伝える」になります。

わかりやすく親しみがあったと思っていただけるのはありがたいことだと思っています。ニュースの敷居を低くしようということは意識して作ってきているので、その理解をしてもらっているのはありがたいです。
用心しなければならないのは、一人一人のしゃべる時間が長いとが言われたが、「ニュースと、面白さというものをどう両立させるか」という命題です。その辺は関西らしさにつながっているが、言いすぎるところもあるので、うまくもっていかなければと思っています。


ナンボDEなんぼ編へ続く…

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