亀田の兄弟競演は、弟の大毅に軍配が上がった。興毅は2階級制覇の交渉が大詰め。だからというわけではないだろうが、世界前哨戦としては、対戦相手の選択に慎重すぎた感は否めない。
弟の大毅の試合では、軽量級で2階級制覇のワンディは、大毅の5倍のキャリアがあり、フライ級の世界ランカー。パワー一辺倒の亀田家のスタイルから脱皮するためにも、大毅には申し分のない相手だった。序盤はワンディのテクニックに互角で応戦。難があった上体の使い方も、ボディーブローから崩す基本のボクシングを忘れることなく粘りをみせた。ワンディは「将来は世界王者になれるのでは。勝とうという気持ちが出ていた」と絶賛。テクニックに課題を指摘しながらも、世界王者を保証したワンディの言葉にウソはないだろう。
2階級制覇の興毅の悲願も、肥やしにならないキャリアをいくら積んでも無駄だ。「今年こそ世界を獲ります。ウソはつきません」と絶叫した興毅。亀田家の長男のひと言は重いぞ。 (格闘技評論家)