不法滞在者の犯罪統計
不法滞在者の犯罪が少ないというのは嘘だ。 あくまでそう主張するならば信頼できるデータを示せ、というご指摘を多数頂きました。 確かにインターネットで検索すると、日本の外国人の犯罪の大半は、不法滞在者によるものであるとの情報が多数見られます。
しかし、ここに非常に恣意的なな情報操作が見て取れます。
以下、信頼できるソースからの情報を提示いたします。
警察庁のウェブサイトにある
「組織犯罪対策」のページ
(⇒ http://www.npa.go.jp/sosikihanzai/#kokusaisousa )
に公開されている「来日外国人犯罪の検挙状況(平成19年)」からの抜粋です。
不法滞在者が「危険な隣人」であるかどうかの指標として、刑法犯として検挙された数を見てみましょう。
■ 刑法犯として検挙された人数(平成19年)
総数 7,528人
正規滞在 6,774人
不法滞在 754人
- うち不法残留 429人 (5.7%)
以上から、不法滞在者の犯罪が少ないことは事実であることがわかります。 では、なぜ一般的に不法滞在者の犯罪が多い、という情報が広まっているのでしょうか。 実は犯罪人として検挙された総数には、刑法犯の他、特別法犯というカテゴリーがあります。
■ 特別法犯として検挙された人数(平成19年)
総数 8,386人 (うち入管法違反 6,270人)
正規滞在 2,306人
不法滞在 6,080人
- うち不法残留 4,071人 (48.5%)
これを含めて統計を出すと、不法滞在者の比率がぐっと高くなります。
しかし、不法滞在者が入管法に違反しているのはいわば当たり前です。 その検挙数まで数字に含めた上で「不法滞在者の存在は来日外国人犯罪の温床」 という言い方をするのは明らかに恣意的な情報操作です。
さらに細かく見てみましょう。
刑法犯 8,148人のうち、約半数が窃盗です。 実にその9割は正規滞在者によるものです。
窃盗 3,755人
- 正規滞在 3,344 (89.1%)
- 不法滞在 411 (10.9%)
それなのに、兵庫県警の「絶対アカン!不法滞在・不法就労」のページには、大半が不法滞在者による犯罪のように報告されています。 なぜでしょうか。
ここに、統計情報の「一部だけをクローズアップして見せ、世論を誘導する」巧妙な罠があるのです。
窃盗のうち、侵入盗 408人だけを見ると
- 正規滞在 244 (59.8%)
- 不法滞在 164 (40.2%)
です。
なぜ兵庫県警は、「窃盗(総数) 3,755人」のデータを隠し、その一部のサブカテゴリーに過ぎない「侵入盗 408人」のデータだけを見せているのか。
皆さんでよく考えてみていただきたいと思います。