追悼・吉岡吉典
3月2日(月)西高島平駅での早朝訴えから、向原1丁目など夕刻まで板橋。横浜へ。神奈川県保険医協会で都留文科大学の後藤道夫教授の講演を聞く。テーマは「社会保障の急増と社会保障基本法」。憲法25条の理念を具体化する社会保障分野全体を貫く諸原則、手続きを示す基本法が必要との見解は、まさにそのとおり。電車の往復で中島敦さんの「山月記」を読む。不条理の現実を中国の寓話を通じて描く作風に感嘆。わがこととしていくつもの選択肢を思う。新橋で降りて、深夜「はら田」。誕生日祝いに花をいただく。花弁に誕生祝いが印字されているのにびっくり。
3月3日(火)都内を街宣し、麹町の文藝春秋で知人に相談事。電車で池袋経由成増。地元の商店街の方々と懇談。老いも若きも「それぞれの人生」に創意を凝らしながら生きている。吉岡吉典さんが韓国ソウルで急逝の報に驚く。元参議院議員の吉岡さんには20代からとてもお世話になってきた。最後にお会いしたのは上田耕一郎さんの葬儀の場。信濃町駅でこんどゆっくり話をと約束をしたままになってしまった。組織を追われた私に何事もなかったかのように接してくれた希有な存在だった。その吉岡さんが「ぼくの代表作はあなたが担当してくれたんだよ」と言ったことが思い出される。私が編集を担当した『日米安保体制論』のことだ。見本が出たとき新宿にいまもある寿司屋に連れて行かれた。カウンターに座った吉岡さんは「そっちから全部」と注文。ネタケースに入っているすべてを食べ終わったとき、また言った。「もう一回」。この豪気な打ち上げこそ吉岡さんの性格を現していた。「有田君まいっちゃったよ」と教えられたことどもは、いずれ証言する機会もあるだろう。遺骨は4日にソウルから羽田に到着する。
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